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ヘッドスライディングで骨折→翌年も再び…なぜ? 元DeNA倉本寿彦32歳が明かす“戦力外への焦り”「その一本で人生が変わるんですよ」 

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日比野恭三

日比野恭三Kyozo Hibino

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posted2023/02/21 11:03

ヘッドスライディングで骨折→翌年も再び…なぜ? 元DeNA倉本寿彦32歳が明かす“戦力外への焦り”「その一本で人生が変わるんですよ」<Number Web> photograph by Kyozo Hibino

昨年、横浜DeNAベイスターズから戦力外通告を受けた倉本寿彦がNumberWebの取材に応じた

翌年も再びヘッドスライディング…なぜ

 剥離骨折も起こしていた左手の指の治療は想定以上に長引いた。8月になって一軍に復帰したが、その後のスタメン出場は1試合のみ。「18、19年と同じような感じで、(一軍に)居ても出られないな、と」。一歩進んで二歩下がる、そんなシーズンだった。

「ケガで離脱したのは自己責任」と、倉本はあくまで自分を責める。ファームで過ごした日々、戦いのステージから遠い場所に居ては何にもならないことを痛感していた。

 それなのに――。

 22年5月8日、倉本はまた頭から飛び込んだ。広島戦の6回、0-15と大きく突き放されていたなかでのプレーだった。

 尋ねずにはいられなかった。

 1年前、ケガをしたじゃないか。どうしてまたヘッドスライディングをしたのか。しかも、大敗している状況で。

 倉本は呆れた表情を浮かべつつ、語気を強めて言った。

「逆に、何でやらないんですか、と思いますけどね。選手の立場からすれば。その一本で人生が変わるんですよ。ぼく、明日の試合に出られるかどうかも分からないんですよ。その打席でヒットを打っとかないとダメじゃないですか。アウトになったら何にもならないですよ。……もしレギュラーで出ていたなら、駆け抜けてたと思います。でも、最後の2、3年はその一本の重みを分かっていたので」

 そうした言葉を浴びながら、筆者は安堵していた。難しい精神状況にありながらも、倉本が最後まで戦っていたことが確認できたからだ。

【次ページ】 シーズン後に戦力外通告

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