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「バレーの留学生は難しい」その理由は? 最初は“ヘタ”だったドミニカ人留学生が春高バレーの頂点に立つまで「目標はサオリ・キムラ」
posted2023/01/12 17:00
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Naoki Morita/AFLO SPORT
「“相思相愛”です」
古川学園高校のドミニカ人留学生、タピア・アロンドラは、「好きな日本語は?」と聞かれ、満面の笑みでそう答えた。
記者陣は一瞬どう反応していいものか戸惑ったが、「仲間とお互いに同じ気持ち」という意だとわかり、和やかな空気が広がった。
身長196cmという圧倒的な高さを持つミドルブロッカーは、前衛のどこからでも攻撃に踏み込んでブロックの上から容赦なくスパイクを叩き込み、今年の春高バレーで古川学園の23大会ぶりの優勝の原動力となった。だがコートを離れると、愛嬌たっぷりのキャラクターで人を惹きつける。
「最初はヘタで、ほとんど素人でした」
タピアは13歳でバレーボールを始め、ドミニカの中学校を卒業後、来日した。
ドミニカのバレーボール協会と日本バレーボール協会はつながりが深いことから、ドミニカから留学生を受け入れるという話が持ち上がった。その際、古川学園の岡崎典生監督に声がかかり、現地の中学生を視察に行って選んだのがタピアだった。岡崎監督はこう振り返る。
「最初見た時は、それはもうヘタで、ほとんど素人でした(笑)。うまい子は他にもいました。自慢するわけじゃないですけど、たぶん普通の人は彼女を選ばないと思います。これだけ大きいし、素人みたいなものだったから、日本人のチームに入ったら邪魔になる。でも私はこの子の使い方をイメージできた。バレーに対する姿勢、一生懸命ボールを追うとか、手を抜かないとか、そういうところを見て、ああこの子はできるな、伸びるなと。この子が一番だなと感じました」
だが選ばれたタピアは最初尻込みした。