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「バレーの留学生は難しい」その理由は? 最初は“ヘタ”だったドミニカ人留学生が春高バレーの頂点に立つまで「目標はサオリ・キムラ」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNaoki Morita/AFLO SPORT
posted2023/01/12 17:00
春高バレーの優勝に貢献し、大会MVPにも選出された宮城・古川学園のタピア・アロンドラ(3年)。卒業後は日本の大学に進学する
「1人で日本に来るのは、最初はめっちゃ怖かった。食べ物とか、どうだろうな、うーん、怖いって。ママに『バレー好きでしょ?』と言われて、『好き。でも違う国に行くのはよくないと思う』って言った。そうしたらママが、『絶対に日本で伸びると思うよ。いい選手になるために行かなきゃ』って。だから考えて、バレーがもっとうまくなれるように、日本に来ようと思いました」
来日当初は日本での練習の厳しさに面食らい、ホームシックにもなったが、今ではチームにすっかり馴染んでいる。日本語も同級生に教えてもらい、初めて聞いた言葉はノートに5回繰り返し書いて覚えるなど、努力を重ねて上達した。逆にチームメイトにスペイン語を教えることもあったという。同級生の南舘絢華は、「『疲れた』は『cansado』とか、教えてくれました(笑)。アロンは明るくて常に笑顔なので、自分たちも笑顔になります」と話す。
目標の選手は「サオリ・キムラ」
今では、試合中に日本語で懸命にチームメイトを鼓舞したり、取材も日本語で問題なくこなす。タピアは、「外側は外国人だけど、中身はもう日本人みたいな感じ。日本はご飯も全部おいしい」と笑う。
一番好きな食べ物は? という問いに、「うーん」と悩んでこう答えた。
「3つあるんですけど、オムライスとカレーうどんと、カレーライス。カレーがめっちゃ大好き。ドミニカにはないので。初めて食べて、めっちゃ好きになった」
目標とする選手は「サオリ・キムラ」。高校卒業後は日本の大学に進学し、将来はプロ選手としてVリーグでプレーすること、ドミニカ代表として五輪に出場することが夢だ。
2年前まで古川学園にいたキューバ人留学生のバルデス・メリーサも、現在VリーグのPFUブルーキャッツで活躍している。
ただ、バスケットボールやラグビーなどに比べると、高校バレーの外国人留学生は多くない。今年の春高バレー出場校で留学生をメンバーに登録していたのは古川学園を含め2校だけだ。なぜか。その理由の一つに、バレーボールの競技特性があると岡崎監督は考えている。