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JリーグPRESSBACK NUMBER
天皇杯決勝でPKを献上し「頭が真っ白に…」“甲府のレジェンド”山本英臣42歳が味わった絶望感「もうこれでサッカーをやめるかも、と」
text by
澤田将太Shota Sawada
photograph byNumber Web
posted2022/12/27 11:06
20年にわたってヴァンフォーレ甲府でプレーする42歳のレジェンド・山本英臣。インタビューで天皇杯優勝に至るまでのドラマに迫った
「正直、甲府に在籍している20年の間に、他クラブからオファーをいただいたこともありました。そのうちのいくつかは、結婚して子供ができたばかりの僕にとってかなり魅力的な条件だった。でも、甲府の街の人の温かさを常に感じていたし、いつも朝早くからスタッフのみなさんが準備をしてくれているのも知っている。そんな人たちが僕を必要としてくれる限り、少しでもここで役に立ちたい、と思ったんです」
「ダントツでした」J2で味わった“香川真司の衝撃”
ヴァンフォーレ甲府は、これまで幾度も昇格の喜びと降格の悔しさを味わってきた。20年間クラブと歩み続けた山本は、代表クラスの選手たちがしのぎを削るJ1のレベルも、ときに“沼”と形容されるJ2の厳しさも、どちらも骨身にしみるほど理解している。
「フィジカル、テクニック、プレーの強度……。どこをとってもJ1は質が高い。対してJ2は、独自のカラーを強く押し出すクラブが増えてきた印象です。たとえばアルビレックス新潟は、監督が変わってもボールを握ってゲームを支配するスタイルを貫いて昇格しましたよね。J1のクラブは、残留という絶対的な目標のために“理想”を捨てざるを得ないことが少なくない。J2にも降格はありますが、多くのクラブが時間をかけて独自のスタイルや文化を構築しようとしています。そういう意味でも、決して楽な相手はいないですね」
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また、明らかに別格の能力を持つ選手がJ2でプレーする例もある。山本が「衝撃的だった」と振り返るのは、かつて日本代表の10番を背負ったあの選手だ。
「J2で過去に対戦したなかだと、やっぱり香川真司(当時セレッソ大阪)選手がダントツです。ターンして振り返ったと思ったら、もうそこにいない。キレが違いました。最近だと本間至恩(当時アルビレックス新潟)選手が近いのかな。あと、甲府で一緒にやっていた伊東純也も、当時から圧倒的に速かった。でも本当にすごかったのは、あれだけの才能を持ちながら『スピードだけの選手になりたくない』とプレーのバリエーションを増やそうとする意識の高さでした」