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「週4回練習で心にゆとり」「選手選考もすべて部員に任せて」広島皆実の“高校サッカー指導改革”「それが日常になり文化になれば…」
text by
加部究Kiwamu Kabe
photograph bykoko-soccer.com
posted2022/12/28 17:02
全国高校サッカー選手権に出場する広島皆実高校。いわゆる「ボトムアップ方式」が根付いている
「2005年度の全国高校選手権に出場し、準々決勝で遠野に2-3で敗れました。今でも『もっと行けたはずだ』と後悔していますが、そこにはやはり慢心があったと思います」
今年度も当初から年間計画に基づき順調なシーズンインが出来て、少しずつ従来の監督主導から選手たちに権限を委譲して来た。
「夏の遠征では、選手選考も含めてすべて選手たちに任せました。ミーティングも完全に任せてしまうこともあります。実は昨年畑先生に講演して頂き布石は打っていたこともあり、概ね選手主体への移行に戸惑いはなかったと思います」
戦術やセットプレーの確認なども自主的に
自身の高校時代は、キャプテンを中心にメンバー選考や日常生活でのルール作りなど全て主体的に活動して来た。トレーニングは週に3回。それ以外の日の行動は自由だった。
「みんなで全国を目指していたので、全体練習が休みでも話し合って集まることはありました。特に大会前になれば、戦術やセットプレーの確認なども自主的に行いました。トレーニングは『質より量』が強調されていて、脈拍も180/分を超えメチャクチャ強度は高かったので不安はありませんでした。やらされる部活ではなく、自分たちで頑張るという思いが強く、卒業する時は『本当に畑先生で良かった』と、たぶんこれは部員の誰もが感じたと思います」
広島皆実でも、選手たちが主体的に活動する部分を増やすと、目の色が変わりトレーニングの姿勢にも積極性が生まれたという。
「リーグ戦では勝てない時期もあり、状況に応じて選手との対話を増やすなどで乗り切って来ました。一定の道標を示したら、あとは主体的にやってもらって、間違った方向へ進みそうな時に上手く導いてあげる。それが新たな指導者のスタイルなのかな、と感じています」
監督元年は、まだ広島観音時代の畑監督のやり方を真似て部分導入している段階だが、将来的には自分なりのアレンジを加えていきたいとも考えている。
「荷物の整理整頓、ミーティングのやり方など高校時代に自分が経験して来たことを参考にしながら、新たなものを探っているところです。ボトムアップを前面に押し出したいところもありますが、モダンな部分の導入も考えているので。ただこうして主体性を促したことで、今年の選手たちはお互いに注意をし合い、ゲーム中でもアイデアを出し合うなど、大人に近づいている印象です」
週4回のトレーニングで指導者側にも心のゆとりが
トレーニングの頻度も、畑監督が最終的に到達した週に2回には及ばないものの、週に4回に減らしたことで指導者側にも心のゆとりが出来た。