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「週4回練習で心にゆとり」「選手選考もすべて部員に任せて」広島皆実の“高校サッカー指導改革”「それが日常になり文化になれば…」

posted2022/12/28 17:02

 
「週4回練習で心にゆとり」「選手選考もすべて部員に任せて」広島皆実の“高校サッカー指導改革”「それが日常になり文化になれば…」<Number Web> photograph by koko-soccer.com

全国高校サッカー選手権に出場する広島皆実高校。いわゆる「ボトムアップ方式」が根付いている

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加部究

加部究Kiwamu Kabe

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 第101回全国高校サッカー選手権が開幕した。カタールW杯の余韻が残る中で、高校生たちはどんな戦いを見せるか。生徒主体でチーム運営をする「ボトムアップ方式」で挑む広島皆実高・小熊和人監督に話を聞いた。

 日本サッカー界で御三家と呼ばれた広島県で新風が拡がりつつある。

 2022年度の全国高校選手権広島県予選を制したのは、近年同県内では突出した強さを見せている広島皆実だった。

 ここ10年間は連続して広島県決勝に進出し、選手権も初出場を果たした1998年から17度目になる常連なので、必然の結末という見方も出来る。ただしチームを率いたのは、県内のライバルに当たる広島観音高校で畑喜美夫監督が提唱するボトムアップ方式での部活を送った小熊和人監督だった。

「高校2年生の頃から畑先生に憧れるようになり、両親が教員だったこともあり『将来は指導者の道を』と考えるようになりました。生徒の心に火をつけて高い目標へと向かわせてくれる。指導法は生徒主体で任せるべきところは完全に信頼してくれるのですが、間違った方向へ進みかければしっかりと指摘してくれる。その言葉の力も凄かったですね」

一般受験組でもしっかりと這い上がってくる

 小熊監督は高校時代の想いを貫き、大学を卒業すると教員の道を歩み始める。やがて広島皆実高校へ赴任し、7年目を迎えた今春から監督の座に就き、その初年度から選手権出場を果たした。

「赴任してコーチを務めていた頃は、部室や荷物の整理整頓などピッチ上に影響する基本的なことにこだわりを持ち続けて来ました。まだ畑先生が実践したように完全なボトムアップ方式に移行したわけではなく、トップダウンと半々程度ですが、徐々に自然な形で移行していければと考えています」

 現在部員は72名。強豪校だけに「最初から全国を目指して高い志を持って入学して来る子が多く、みんな目がギラギラしている」という。だがセレクションでエリートばかりを募るわけではなく、一般受験で入学してもしっかり這い上がって来る選手も少なくないそうだ。

少しずつ従来の監督主導から選手に権限を

 昨年広島県予選の決勝で敗れてからは、チーム内で「微差力」という言葉を共有し、細部までこだわりを持って強化を進めて来た。

 実はこの言葉には、自身の現役時代の反省も込められているようだ。

【次ページ】 戦術やセットプレーの確認なども自主的に

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