マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「高校球児なら必死で走る場面なのに…大学野球は歩くでしょ?」なぜ“3000人の高校野球ファン”は大学野球を見ずに帰った? 理由を聞いてみた
posted2022/12/17 17:01
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
JIJI PRESS
「明治神宮大会」は、高校野球の試合と大学野球の試合の両方を、同じ日に、同じ球場で観戦できる大会である。
今年も、11月18日から神宮球場を会場として、地区大会を勝ち抜いた高校10チームと、大学11チームが「日本一」を競って闘いを繰り広げた。
たとえば、大会初日には、午前中に高校野球のトーナメント戦を2試合、引き続きの午後が、大学野球を2試合。高校野球は地区大会の優勝校、大学野球のほうは、同じ地区のリーグ戦優勝校同士が予選を行って、その優勝校が出場しているのだから、そりゃあ野球のレベルは高い。
なぜ高校野球が終わると帰ってしまうのか?
晴れていないとかなり寒いし、16時を過ぎると、天気がよくても暗くなってくるので、ナイター観戦はひとしお空気の冷たさが身に染みるというものだが、グラウンドの熱っぽいプレーのレベルの高さが、冬近しの寒さを一瞬忘れさせてくれるのも、この大会の味わいになっている。
そんな中、これは「きのう今日」の疑問でもないのだが、午前中の「高校野球」が終わってしまうと、観客がサーッと帰路に就いてしまうのは、いったいどうしたことか。
そのあとに、さらにハイレベルな「大学野球」の試合を1つ、2つ、残したままで、どうして観客が退いてしまうのだろう。
11月の大会だから、10月のドラフトで指名された大学選手だって、何人も登場するし、普段あまり実戦を見られない大学選手のプレーを目の当たりにできる絶好の機会だろうに……。何より、その大学選手たちは、みんな数年前までは「高校球児」であり、中には甲子園のスターだった選手もいるのだ。
「ハラハラしながら、親みたいな感覚で見るのが高校野球」
11月19日は、快晴の暖かい土曜日。
朝8時半の第1試合開始時刻には、神宮球場ネット裏はあらかた満席。その中で行われたのが、仙台育英高vs沖縄尚学高と東海大菅生高vs広陵高なら、内野席がいっぱいになるのも無理ない話で、第2試合には観客は8500人に達した(外野席は開放せず)。第3試合の国学院大vs仙台大……この試合だって、東都の雄と東北の王者だ。実に興味深い一戦なのに、8500人いた観客が、5500人になってしまったから驚いた。
そこで、いろいろ聞いてみた。
記者の方たちには、大半が「さあ、わかりませんね……」と興味なしの返事を返されてしまったが、いくつかの「反応」が得られた。
「私自身は、“大学の部”にあまり人が残らない理由って、よくわかりませんけど、妻が言うには……」