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「高校時代は無名ピッチャーだったのに…」2023年はドラフト豊作の予感…“ドラ1候補”4人の大学生・左投手を発見「元中日の山本昌を思い出す」
posted2022/12/22 17:03
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Sankei Shimbun
今年の明治神宮大会は「大学の部」が凄かった。
派手に報道されるのは「高校の部」ばかりだが、出場した大学11チームの投手陣には、今秋ドラフト指名された4年生、来年、再来年のドラフト上位候補間違いなしの3年生、2年生、それに社会人に進んで再来年の2年目にやはり上位指名が期待できそうな投手……これからが楽しみでならない剛腕、快腕が、これでもかと居並んだ。
特にサウスポーだ。まず3年生からいこう。
来年のドラ1候補・大学生ピッチャー【1】国学院大・武内夏暉
東都大学リーグには、この秋も繰り返し神宮に出かけたが、この左腕とは出会わなかった。こういう事はよくあって、火曜日ばかり行っていると、水曜日に先発する投手を一度も見ずじまいに終わったり、こういうのも「ご縁」というものなのか。
国学院大・武内夏暉投手(3年・185cm90kg・左投左打・福岡八幡南高)は、この秋のリーグ戦でMVPを獲得。4勝無敗、防御率0.68だったそうだ。
堂々たる体躯の大型左腕でも、豪快にバンバン三振を奪う剛腕では決してない。しかし、「打ちにくい左腕」ということなら、この投手だろう。
そもそも、左腕投手という存在は「少数派」である。珍しいというアドバンテージがあり、珍しいだけでも打ちにくいのに、投げるフォームのメカニズムやボールの質に打ちにくさがあれば、さらに大きな「勝てる要素」になる。
「元中日・山本昌タイプ」
明治大との決勝戦。
立ち上がりから、130キロ後半の速球でも、中日2位指名の1番・村松開人二塁手(171cm80kg・右投左打・静岡高)のスイングを圧倒する。さすがに、プロ級のバットコントロールで左脇をたたみ込んだスイングで左前に落とされ、2番にも三遊間を破られた無死一、二塁。
いきなりのピンチで、今年のドラフトでも1位間違いなしと見られる2年生遊撃手・宗山塁(175cm77kg・右投左打・広陵高)のバットをバッキリ真っ二つにし、来年のドラフト候補・上田希由翔三塁手(3年・182cm90kg・右投左打・愛産大三河高)のスイングを完全に崩したツーシーム。これは、間違いなく「使えるボール」だ。