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《ベスト8への秘策》「狙い目は心臓の脇!」“似た者同士”クロアチア戦を制するため日本はどう戦うべきか
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byGetty Images
posted2022/12/04 20:00
37歳にして健在ぶりを発揮しているモドリッチ(左)。このベテランを中心とするクロアチアの中盤を日本は攻略できるか
「中盤の3人は、インテル(ブロゾビッチ)、チェルシー(コバチッチ)、レアル・マドリー(モドリッチ)という、世界的に見てもビッグクラブでやっている。中盤のクオリティに関しては、今大会出場国の中でもベストの1つだと思っています」
冨安健洋が言うように、クロアチアの中盤中央に構える3人による三角形が、自在に形を変えながらボールを動かし、攻撃を組み立てる。そして左に構えるトッテナムのウイングからも、目を離してはいけない。
「ペリシッチは良い選手だなと思います。僕はアーセナルの所属選手ですし、(同じロンドンのライバルクラブである)トッテナム所属のペリシッチは、絶対にやらせてはいけない相手。しっかり抑えたい」(冨安)
クロアチア=21.7本
日本=13.0本
これはグループステージでの1試合平均クロス数だ。クロアチアは中盤中央で攻撃のタクトを振るう3人が巧みにボールをサイドに展開し、そこからのクロスで日本ゴールに襲いかかってくる。特にペリシッチのいる左サイドから敵陣ゴール前へのエリア別侵入割合(左・中央・右で3分割)は、初戦のモロッコ戦が45%、第2戦のカナダ戦が53%、第3戦のベルギー戦が64%。明らかに攻撃は左偏重だ。この強烈な左フックをガードすべく、3バックの右ストッパー、あるいは4バックの右サイドバックに冨安を置き、ペリシッチ封じを狙う可能性もある。
ゴールを奪うための狙い目とは
PK戦があるとはいえ、ノックアウトステージは耐えるだけでは未来がない。ならば、いかにして日本はクロアチアからゴールを奪うべきか。狙うは“心臓の脇”だ。クロアチアが辛うじて引き分けに持ち込んだグループステージ第3戦の後半、ベルギーは2シャドーのデブライネとトロサールが、クロアチアのアンカー、ブロゾビッチの脇のスペースに潜り込んで起点となり、何度もチャンスを生み出した。日本も3バックなら2シャドー、4バックなら2列目に入る鎌田大地や堂安律、三笘薫、伊東純也らがこのスペースに入り込んで前を向いてボールを持てるかがカギになるだろう。
W杯での日本とクロアチアの対戦は3度目。98年フランス大会は0−1の敗戦、06年ドイツ大会は0−0のドローに終わった。“似たもの対決”の今回も、ロースコアで推移する可能性が高い。この我慢比べに勝利したとき、長く日本の前に立ちはだかってきたベスト8への壁が崩壊する。