話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
「ここに大迫勇也がいれば…」コスタリカ戦、無得点に終わった“3つの理由”「“早すぎた”浅野投入」「鎌田になぜこだわった?」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byTakuya Sugiyama/JMPA
posted2022/11/28 17:27
13本のシュートを放つも無得点に終わった日本。試合前のABEMA中継スタジオでは解説者3人全員が日本の3得点を予想したが、結果は0だった
理由1:連係不足
ひとつは、選手の連係不足が挙げられる。
コスタリカ戦のスタメンは、ドイツ戦から5名入れ替わり、攻撃陣に限って言えばトップ下の鎌田大地以外は総入れ替え状態だった。このチームは良い守備から良い攻撃がコンセプトだが、どこまで取りにいけばいいのか、誰が誰をマークするのか、いまひとつクリアになっていなかった。
攻撃も相手を動かして隙を狙う意図は分かるが、うしろで回しているだけ。奪ってからも味方が前に出てこないので、攻撃になっても人数をかけられず、単調、単発になってしまった。前半の終わり、鎌田がボールを持ったところを相手にチャージされて倒された際、右サイドバックの山根視来に「もっと前に出てこい」と厳しい表情で要求したが、こういうシーンが多々あり、鎌田はうまく機能しない攻撃に苛立っている様子だった。
試合後、鎌田は「これが日本人の感覚なのかわからないですけど」と語ったが、選手を入れ替えたことで生じたお互いをもうひとつ理解しあえていない感覚のままプレーしたがゆえに生まれたギャップだといえる。
理由2:選手交代とそのタイミング
もうひとつは、選手交代とそのタイミングだ。
上田綺世の起用は、理にかなったものだった。引いた相手のDFの前でボールを受けてキープできる選手は、今の代表のFWでは上田だけだ。前半は、相手の厳しいマークに苦労し、あまり目立たなかったが、それでも身体を張ってプレーしていた。後半いきなり浅野に交代したが、これは少し早すぎたのではないか。コスタリカ戦は、ドイツ戦の後半のように大きなスペースがなく、スピードがある浅野を活かすには最適の状況ではなかった。コスタリカにはスピードを活かしてゴールに絡むタイプではなく、むしろゴール前でボールを収めて、2列目、3列目の飛び出しを引き出し、相手のDF陣を混乱させる攻撃が有効で、それはアジア最終予選でも経験していたはずだ。それにもかかわらず、浅野や伊東純也らスピードタイプの選手を入れてきた。
個人的には、コスタリカにはボールが持てて、攻撃のアイデアが豊富な久保建英を入れた方が効果的だと思ったが、結局は槍のような一点突破型のサイド攻撃でしか形を作れず、相手の粘り強く、中央の手堅い守備に封じられてしまった。ここに大迫勇也がいればと思ったのは、決して少数ではなかったはずだ。