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「リツはそうしたプレーができなければ生き残れない」ドイツ名将の下で堂安律が急成長…W杯で信じ抜く「特別なものが自分に」
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byTakuya Kaneko/JMPA
posted2022/11/23 17:15
カタールW杯を前にした取材に応じる堂安律。そのプレーでドイツに衝撃を与えてほしい
「私にとってのサッカーとは、いつでもバリエーションを持ってプレーすることだ。強いチームと戦うときでもサッカー的にアプローチすること、自分たちでボールを持つ時間を作ることが大事だ。さらに、ボールを失ったら相手に対して適切にアタックすること。
そのためにはピッチ上で自信を持ってプレーできるかどうかが問われる。後ろで守備を固めて守るなんてことはしたくない。そんなサッカーをするくらいなら負けた方がいい。ボールを持ってサッカーをし続ける。それこそが、私が思うプレーするということだ」
監督からは「DFの背後を狙え」と
そんな哲学を持った監督の下、堂安はプレーのバリエーションを増やし、攻撃と守備のクオリティを高めている。ヨーロッパリーグのナント戦後には自身のプレーについて次のように語っていた。
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「監督からは『DFの背後を狙え』と口酸っぱく言われています。足下で受けるのが自分の特長ですけど、相手の背後を突いて味方のためにスペースを空けるとか。ビルドアップの役目は(味方に)任せていますが、攻撃で一つギアを入れるときや、相手を崩してほしい局面では、サイドの自分のところにボールが回ってくる感覚がある。ミーティングでも、『こういうシチュエーションならばリツに渡すんだ』と言ってもらえていますし。そこの信頼感は、監督からもチームメイトからも感じています」
「リツには非常に満足している」
堂安の成長ぶりについて、シュトライヒ監督は満足しているようだ。話が堂安に及んだときは嬉しそうに、情熱的に、身振りを交えて話していた。
「リツには非常に満足している。彼はいま大事な成長プロセスの過程にいる。常に学んでいるし、興味を持ってやるべきことに取り組んでいる。多くの質問をしてくるし、ビデオ分析に関しても精力的だ。非常にプロフェッショナル。チームに完全に溶け込んでいるし、彼自身もここを居心地よく感じている。選手は彼を温かく迎え入れているし、彼はとてもオープンなので、よく話をしているし、ディスカッションもしている。彼のような選手、人間と一緒に仕事ができるのは喜ばしいことだよ」
この冬、堂安は自身初のW杯に挑む。すべての選手にとってそうであるように、堂安にとっても子どもの頃から思い続けていた夢舞台だ。