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ラグビー界「選手→レフリー転身」はさらに続く? “仕掛け人”も期待する189cmロックが二刀流に挑戦「滑川さんに刺激を受けました」
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph byMasaki Kondo
posted2022/11/21 17:01
高校生の試合で笛を吹く近藤雅喜(三重ホンダヒート)。待望のフォワード出身者のレフリーとして期待される
ラグビーの国内レフリーは元スクラムハーフの滑川レフリーを含め、バックス出身者が多い。一方で近藤の定位置は、バックスは基本的に参加しないスクラムやラインアウト、そしてブレイクダウンと呼ばれるボール争奪戦を専門領域とするフォワードのロックだ。
近藤は体力勝負の7人制ラグビーも専門であり、1試合(40分ハーフ)の走行距離がスクラムハーフ並みの7、8キロになるという、レフリーのフィットネス面もクリアする。まさにレフリー界にとっても“待望の逸材”なのだ。
「フォワード出身者としてスクラムやラインアウト、ブレイクダウンは細かい視点でチェックできるのかなと思っています。協会関係者の方々からフォワード出身レフリーを歓迎する声も聞いているので、責任を感じています」
近藤が口にした「責任」。
その言葉は、近藤が抱えている様々な想いの結晶でもある。
ポリシーは「プレイヤーファースト」
現在日本ラグビー協会はトップ選手のレフリー転向をサポートする「トッププレーヤー トランジション プロジェクト」を進めている。
現在C級レフリーの近藤を含めたリーグワンの現役3選手、元トップ選手2名の計5名が今夏のプロジェクト研修会に参加。原田RMらが指南役となり、日本協会主催の全試合を担当できるA級レフリー(トップレフリー)への道を手助けしている。
「12月から始まる2年目のリーグワンでは、アシスタントレフリーのパネルに入れて頂きました。いろいろなサポートをして頂きながら活動できています」
現役選手として徹底的にプレイヤーに寄り添いたい、という強い想いもある。レフリーとしてのポリシーを訊ねると、即答だった。
それまでの淡々とした口調が熱を帯びていた。
「(レフリーとしての)ポリシーは『プレイヤーファースト』です。選手が一番プレーをしやすい環境をレフリーが示す。これ以外にありません。選手はキャリアを懸けて一つひとつのプレーをやってきます。僕らもそれに応えてあげたい。選手が自分のスキルに集中するマインドをどう持っていけるか、そこをお手伝いできたらと思っています」