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「パパは大谷選手と対戦したことあるの?」FA移籍から5年、DeNA大和35歳が「(現役生活)まだまだ先は長い」と語る理由
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph bySankei Shimbun
posted2022/11/21 11:00
5年前の2017年秋にDeNAへFA移籍でやってきた大和。“ベテラン”と呼ばれる30代後半に突入したが、「まだまだやらなきゃ」と前を向く。そのやる気の源には“ある存在”があった
“得点圏の鬼”が打率を残す秘訣とは
「ランナーを返さなければいけないケースは、どんなカタチでもいいのでまずは“前に飛ばす”ことを意識していますね。一方でランナーがいないときは、極端に言えばピッチャーに球数を多く投げさせること。ここが一番の大きい違いだと思います」
集中力を極限まで研ぎ澄まし、「イケる!」と体と心が感知したボールを積極的に振っていく。
「若いカウントから行くときは(球種やコース)決めて行くことが多かったですね。けど、それが違っていたときに果たしてどうするのか。今でも考えさせられることは多いし、ここは難しいところでもあるんです」
そんな状況にあっても高い得点圏打率を残すことができたのは、長い経験による読みや状況判断が礎になっているのだろうか。
「それは間違いないでしょうね」
大和は確信を込めた口調で言った。多くの蓄積が、今の自分を支えている。
守備で忘れかけていたものを取り戻せたのは大きかった
それは守備においても同様だ。今季は本職であるショートをメインに81試合で守備についた。昨年は同等の試合数、守備機会で自身ワーストタイとなる11失策を喫していたが、今季はわずか4失策に抑えることができた。また守備率は.986と、これはDeNAに移籍をして5シーズンで最もいいアベレージとなっている。
「昨年11個のエラーをして、自分のなかで減らさなくてはいけないと、キャンプからずっと基本の動作の練習を繰り返してきたんです。それによって雑だった部分を見直すことができて、いい方向に働いたと思いますね。特に打球に対しての入り方や足運び、そしてスローイング。忘れかけていたものを取り戻せたのは大きかった」
昨年の守備不安の要因として、ベンチで控えることも多くなり、試合間隔が空くことによる調整の難しさを語っていた大和だったが、そこに関してはようやく慣れてきたという。結果的に今季、スタメンでの出場の間隔が空こうが、代打からゲーム途中に守備に入ろうが、その安定感は揺らぐことはなかった。
以前、大和は「(守備力が)落ちてきたと思われるのは嫌だ」と語っていたが、正直に言えば守備範囲の広さや送球のスピードなどは全盛期とくらべれば落ちてきたように感じられる。そう問うと、大和は嫌な顔ひとつせず、静かに、そして力強く言うのだ。