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“まさかの落選”大迫勇也32歳が明かした「バックアップメンバーは断りました」その言葉には続きがあった…現地で記者が聞いた話
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byJMPA
posted2022/11/09 17:26
写真は2018年W杯、ベスト16・ベルギー戦で敗れ、観客に手を振る大迫勇也
「お父さん、なんで大迫外れたん? お父さんの言うてる“戦術にハマらなかった”ってヤツ?」
「それ説明しだすとな、キックオフどころか試合終わってまうわ。おうち帰ってからな」
父の背中(やっぱり背番号10)に言いようのない無念さを感じつつ、申請を済ませて記者席へと向かう。この日は「声出し応援適用試合」。キックオフ前から両チームサポーターのチャントが響いていた。遠目から見る限りだけど、ちゃんとマスクしているし、来季は各スタジアムに歌声が戻ってほしいなあ……と思っていると、ほどなくGKを皮切りにヴィッセル、マリノスの選手が試合前練習に臨む。
そしてフィールドプレーヤーが入場してくると同時に、神戸ゴール裏に大型イラストが掲げられた。ガンバ戦の劇的なゴール後のシーンを模したのだろうか、大迫が雄叫びを上げるもの だった。
「オーーサッコゴール! オーーサッコゴール! 俺たちの大迫、俺たちの大迫……」
2分以上は歌い続けていただろう。古巣との試合や、その日期待する選手などに練習時からチャントが贈られるのは“Jリーグあるある”だが、この日のメッセージ性ははっきりしていた。
この日が声出し応援でよかったな……と、まだほとんど人影のない記者席でエモくなっていたが、これはキックオフ前。スターティングメンバー発表時に「背番号10 FW大迫勇也!」の名前が呼ばれると、スタジアムに一際大きな拍手が響いた。
試合はマリノスのエウベルが先制ゴールを奪い取り、アディショナルタイムに酒井高徳→武藤嘉紀(彼らも大迫と同じロンドン世代のW杯経験者だ)のラインで同点ゴール。“おや、川崎の逆転優勝の目が出てきた?”という展開に。しかし後半に入ると、マリノスの西村拓真と仲川輝人がネットを揺らし、3-1でリーグタイトルを奪還した。
大迫はどうだったか。キックオフ直後にファーストシュートに持ち込み、後半開始後にも立て続けにシュートチャンスを作り出すと、ゴールシーンと同等の歓声が上がっていたし、必死のポストプレーを見せていた。ただし試合後に酒井が「力負けというか……レベルが高くて“勝率の上がっていくサッカー”をしているのはマリノスと川崎かなと感じていました」と話した通り、総合力の高いマリノスが大迫と他選手との連係を遮断。“大迫が意地を見せる”という筋書きを許さなかった印象だ。
「バックアップメンバーは断りました」に続けた言葉
マリノス優勝の表彰式が30分ほど続き、試合終了から約1時間後。スタジアムが暗転してライブ会場のような演出後、三木谷浩史会長、キャプテンであるイニエスタのスピーチが続く。
自分はミックスゾーンへと急いだ。