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“まさかの落選”大迫勇也32歳が明かした「バックアップメンバーは断りました」その言葉には続きがあった…現地で記者が聞いた話
posted2022/11/09 17:26
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph by
JMPA
カタールW杯に臨む日本代表26人が発表され、11月8日には負傷した中山雄太の代役として町野修斗が追加招集された。
そんなW杯メンバー発表後のJ1最終節。関東ではW杯メンバーに選出された山根視来や谷口彰悟(川崎フロンターレ)と長友佑都(FC東京)が激突する「多摩川クラシコ」が開催される。けれど勝って自力でJ1優勝を決められるのは横浜F・マリノス。何よりW杯選外になった大迫勇也が意地のプレーを見せるかもしれない。
そんなヴィッセル神戸vs横浜F・マリノスの雰囲気を味わいたくて、新幹線に飛び乗った。ハリキリすぎて新神戸駅に着いたのは朝9時半。それでも駅では早速、チラホラと青いユニフォーム姿の老若男女とすれ違う。3シーズンぶりのJ1優勝がかかっている最終節なのだから、新横浜駅から乗り込んで当然だろう。
「大迫の落選がチーム全体のモチベーションになるかも」
昼食を食べようと入った地元の飲食店にも、マリノスサポの皆さん。こんな会話が聞こえてきた。
「メンバー発表あった後のヴィッセル戦って怖いよね」
「大迫、悔しさぶつけてくるでしょ。昨日スマホで読んだけど、(酒井)高徳も大迫をフォローするコメントしてたし」
「先週終わった時点で順位的なこと考えればって思ってたけど、大迫の落選がチーム全体のモチベーションになるかもとか……今までの最終節じゃありえないパターンでしょ」
「W杯で言うとタケ(久保建英)の肩、大丈夫なのかな? 一瞬とはいえマリノスいてくれたんだし、離脱とかなってほしくないな」
例年なら“J1残留を決めて今季ホーム最終戦に臨む”くらいのモチベーションだったはずのヴィッセルが、“選外となった大迫のために”というまとまりを見せてきたら怖い、という見立てなのだろう。
今回の発表はJサポーター心理にも影響してるんだな……と思いつつ地下鉄に乗って、最寄りの御崎公園駅からノエスタ周辺に到着。取材受付をする前に、スタジアム周辺の様子を観察してみる。
「俺たちの大迫、俺たちの大迫……」
ヴィッセルサポのユニフォームの背番号を見ると――この日の主観もあるかもしれないが――イニエスタの「8」以上に大迫の「10」を着用してる人が多い。芝生広場ではヴィッセルのスタッフなどを中心に子供達のサッカー教室が行われていた。傍らで休憩している親子連れがこんな会話をしている。