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菊花賞の本命も穴馬も、“春クラシック出走の3頭”は外せない? アスクビクターモアは「長距離で花開く」と調教師も確信
posted2022/10/22 17:03
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Photostud
皐月賞とダービーの1、2着馬が出走しないのは、実に65年ぶりのことだ。
クラシック三冠競走の掉尾を飾る第83回菊花賞(10月23日、阪神芝内回り3000m、3歳GI)は、どの馬が勝っても不思議ではない大混戦の様相を呈している。
今から65年前というと、1957年、昭和32年。1月、南極に昭和基地が設営され、8月には旧ソ連のボリショイバレエ団が日本で初公演を行った。「グラマー」「ストレス」「デラックス」などが流行語になった――というくらい昔である。
菊花賞を制したのは、皐月賞6着、ダービー不出走のラプソデー。セントライト記念2着を経ての参戦だった。
なお、その年の皐月賞はカズヨシ、ヒカルメイジの1、2着で決まり、ダービーはその逆の着順だった。カズヨシはダービーのあとオープンを3戦して有馬記念(9着)に向かい、ヒカルメイジはダービーをレコード勝ちしたあと屈腱炎を患い、長期休養に入ったため、菊花賞に出走しなかった。
ちなみに、皐月賞馬とダービー馬がともに出走しなかった菊花賞というのは結構あって、1984年のグレード制導入以降だけでも10回。昨年もそうだった。
皐月賞・ダービーの結果は重視すべき
昨年の菊花賞の舞台は今年と同じ阪神。勝ったのは、皐月賞でメンバー最先着の2着だったタイトルホルダー。ダービーで最先着の3着だったステラヴェローチェは4着。春の二冠で上位に来た馬が好結果を出した。やはり、極限のガチンコ勝負の皐月賞とダービーの結果は重視すべきなのだ。
となると、今年は、皐月賞5着、ダービー3着のアスクビクターモア(牡、父ディープインパクト、美浦・田村康仁厩舎)を軽く扱うわけにはいかない。道中2番手につけ、ラスト400m地点で先頭に立って、コンマ3秒差の3着となったダービーは、例年なら勝っていてもおかしくない内容だった。自分で競馬をつくり、勝ちに行って2分22秒2という、「芦毛の怪物」オグリキャップが1989年のジャパンカップで叩き出した当時の世界レコードと同じ時計で走ったのだから、強い。休み明けの前走、セントライト記念の2着も、まさに「負けて強し」だった。