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ヤクルト村上宗隆は「プロ野球史上最高のバッター」になりえるか? ライバルは落合博満&王貞治…過去の三冠王と“徹底比較”
posted2022/11/01 11:00
text by
太田俊明Toshiaki Ota
photograph by
L)BUNGEISHUNJU、R)Naoya Sanuki
村上宗隆(ヤクルト)は、これまで数々の史上最年少記録を塗り替えてきた。清原和博(西武)が持っていた10代でのシーズン本塁打記録。中西太(西鉄)の高卒2年以内のシーズン打点記録。清原の最年少通算150本塁打。そして、極めつきが史上最年少での三冠王だ。
清原、中西ともに、高卒1年目から活躍した早熟の大打者だが、この二人を凌駕し、王貞治(巨人)、落合博満(ロッテ他)といった伝説的三冠王たちに22歳にして肩を並べた村上は、このまま成長して日本プロ野球史上最高の打者になりえるのか。その可能性を、過去の三冠打者と比較して探ってみよう。
王、野村、落合、松中…レジェンドたちと比較
過去に三冠を達成した打者は村上のほかに、中島治康(巨人/1938年)、野村克也(南海/1965年)、王貞治(巨人/1973、74年)、落合博満(ロッテ/1982、85、86年)、ブーマー・ウェルズ(阪急/1984年)、ランディ・バース(阪神/1985、86年)、松中信彦(ダイエー/2004年)。戦前にわずか10本で本塁打王になった中島、外国人助っ人のブーマーとバースは条件が異なるので除外し、野村、王、落合、松中の4人と村上を比較してみよう。当然ながら、“ライバル”たちはみな錚々たる大打者である。
【三冠王獲得シーズンの成績】
●1965年の野村克也 30歳/175cm・85kg
プロ12年目 本塁打42 打点110 打率.320 安打数156 三振57 四死球66 出塁率.401 長打率.637 OPS1.038
●1973年の王貞治 33歳/177cm・79kg
プロ15年目 本塁打51 打点114 打率.355 安打数152 三振41 四死球128 出塁率.500 長打率.755 OPS1.255
●1974年の王貞治 34歳
プロ16年目 本塁打49 打点107 打率.332 安打数128 三振44 四死球166 出塁率.532 長打率.761 OPS1.293
●1982年の落合博満 28歳/178cm・82kg
プロ4年目 本塁打32 打点99 打率.325 安打数150 三振58 四死球86 出塁率.431 長打率.606 OPS1.037
●1985年の落合博満 31歳
プロ7年目 本塁打52 打点146 打率.367 安打数169 三振40 四死球104 出塁率.481 長打率.763 OPS1.244
●1986年の落合博満 32歳
プロ8年目 本塁打50 打点116 打率.360 安打数150 三振59 四死球104 出塁率.487 長打率.746 OPS1.233
●2004年の松中信彦 30歳/183cm・97kg
プロ8年目 本塁打44 打点120 打率.358 安打数171 三振67 四死球96 出塁率.464 長打率.715 OPS1.179
●2022年の村上宗隆 22歳/188cm・97kg
プロ5年目 本塁打56 打点134 打率.318 安打数155 三振128 四死球125 出塁率.458 長打率.710 OPS1.168
まず村上の際立った特徴に挙げられるのが“若さ”だ。村上の22歳に対して、他の4人で最年少は落合の28歳。その落合にしてもベストシーズンは31歳だった。このデータからも打者としてのピークは30歳前後に訪れるといえる。