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世界王者・宇野昌磨が語った”4回転の神”マリニン17歳の衝撃!「僕よりクオリティも高い」本人は「皆が簡単に跳ぶねと言うけれど…」
posted2022/10/10 17:01
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph by
JIJI PRESS
今年9月に4回転アクセルを史上初めて成功させた17歳のイリア・マリニン(米国)が、ジャパンオープン(10月8日)で来日し、世界選手権王者の宇野昌磨、そして17歳の三浦佳生と初対戦した。マリニンは4回転アクセルを、試合では手をついたものの、練習では何度も成功。触発された宇野、三浦も熱い炎をぶつけあう好戦となった。
ジャパンオープンは、本格的な国際大会であるGPシリーズに先立ち、毎年10月初旬に行われ、“シーズン開幕”を告げるイベントだ。プロも参加してフリーのみ演じるため、公式記録にはならないが、現役選手にとって10月のうちに国際ジャッジの前でアピールできる重要な一戦となる。
公式練習で”6種類7本”の4回転着氷!
その中で、マリニン、宇野、三浦の3人は、それぞれの立場からの野心を胸にこの大会に挑んでいた。マリニンは9月のUSクラシックで4回転アクセルを初成功させたものの、他のジャンプではミスがあり、また演技構成点(PCS)もそこまで伸びず、合計257.28点だった。これはGPシリーズでは表彰台が危うい得点である。世界最高峰のジャンプを持ちながらも、シニアデビューの今季どこまで戦えるのかが課題だった。
するとマリニンは7日の公式練習で、怒涛のジャンプを見せて、宇野と三浦を牽制した。4回転アクセルだけでなく、試合ではまだ予定していない「4回転6種類7本」のジャンプ構成に挑戦したのだ。曲かけ練習の冒頭で、4回転アクセルをクリーンに降りると、そのまま4回転ルッツ2本、フリップ、ループ、サルコウ、トウループと、全6種類7本の4回転を着氷。実際には、試合では「4種類5本」を予定しており、2種類も追加するというのは明らかに選手や関係者に向けたメッセージである。「本気を出せばここまで出来るんだ」というオーラが、全身からにじみでていた。
宇野と三浦が語るマリニンの衝撃
一緒に練習していた宇野と三浦は、マリニンに釘付け。特に、同じ歳の三浦にとって、それは衝撃だった。
「4回転アクセルだけでも凄いのに、全部のジャンプが4回転って、わけが分からないです。あとでマリニンに直接聞いたんですが、今日初めてやってみて、出来たって。初めてでも出来るんだ……、と。格の差を見せつけられました。もう、負けたくないというよりも呆れる感じです」
一方、世界王者である宇野も、冷静にこう分析していた。