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最強軍団・ソフトバンクが泣き崩れた「10.2最終決戦」…2つの史上初が重なった悲劇と“歓喜の8年前”は何が違ったのか?
posted2022/10/05 11:03
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
Sankei Shimbun
運命の「10.2」決戦。マジック1で臨んだソフトバンクに待っていたのは、プロ野球史上初となる、記録と記憶に残る悲劇の幕引きだった。
歴史的V逸に「2つの史上初」
2022年10月2日、パ6球団が揃って迎えたレギュラーシーズン最終戦の143試合目。ソフトバンクは千葉のZOZOマリンスタジアムで、ロッテ相手に優位に試合を進めながら3-5と痛恨の逆転負けを喫した。その試合終了のわずか約2分前、仙台の楽天生命パークではオリックスが5-2で楽天を下した。
両チームともに76勝65敗2分で勝率.539――。
長い、長い143試合を戦い抜いた末、ソフトバンクもオリックスも全く同じ勝敗と引き分け数で並んだ。CS導入以前ならば、両チームによる「優勝決定戦」(3試合)が行われていたのだが、現行のパ・リーグの規定では(1)当該球団間の対戦勝率(2)リーグ内対戦成績の勝率(3)前年順位の順で、順位決定されることになっている。
ソフトバンク、今季の対オリックスは10勝15敗。
過去のプロ野球で1位と2位がゲーム差なしでフィニッシュした例はあったが、同率で並んだ例は過去になかった。
また、リーグ全日程の最終日での優勝決定は1982年セ・リーグの中日以来で、パ・リーグでは1963年の西鉄ライオンズ以来、59年ぶり。そして過去5度は、すべて前日首位のチームがそのまま優勝していた。ソフトバンクはこのケースでも史上初めてとなる歴史的V逸に名を刻んでしまったのだった。
「10.2」決戦を迎えるまで
史上空前の壮絶な大混戦。それが今季のパ・リーグだった。
9月11日の時点では1位・ソフトバンク、2位・西武、3位・オリックスがゲーム差「0」の中にひしめいた。