野球のぼせもんBACK NUMBER
最強軍団・ソフトバンクが泣き崩れた「10.2最終決戦」…2つの史上初が重なった悲劇と“歓喜の8年前”は何が違ったのか?
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph bySankei Shimbun
posted2022/10/05 11:03
運命の「10.2」決戦。マジック1で臨んだソフトバンクに待っていたのは、プロ野球史上初となる、記録と記憶に残る悲劇の幕引きだった
それでも15日にソフトバンクは楽天に勝って5連勝として、優勝へのマジックナンバー11を今季初めて点灯させた。17日~19日には京セラドームでオリックス相手に痛恨の3連敗を喫したものの、マジック9は点灯させたままだった。
20日は日本ハムに勝ってM8。
22日は試合無しも、オリックスが敗れてM7。
23日~26日は、ロッテ4連戦を3勝1敗で乗り切ってM4まで減らした。
27日はソフトバンク完敗も、オリックスも敗れてM3。
29日・30日のソフトバンクは、楽天に敵地で連勝していよいよM1としていた。
大混戦でも、ソフトバンクは頭1つ上の立ち位置でシーズンを進めていた。それを物語るように、ソフトバンクはセ・リーグも含めた12球団で唯一、シーズン開幕から1度たりともBクラスに落ちることなく戦い抜いたチームだった。3位になったのも8月4日のたった一日だけ。順位表の1位か2位にずっと名前があった。
近年は「勝ってきた展開」だった…
地力が勝るのか、それとも経験による試合巧者だったのか。
振り返れば、2010年に親会社がソフトバンクとなって初めてリーグ優勝を果たして以降、昨年までの12年間のうち6度もパ制覇を成し遂げてきた常勝軍団だ。
大一番での勝負強さも兼ね備えている。
圧倒的な強さを誇ってきたイメージも強いが、2010年と2014年の優勝もシーズン最終戦での決着だった。特に2014年は今季と同じくオリックスとの優勝争い。ソフトバンクは当時のシーズン最終戦だった144試合目に本拠地でオリックスと直接対決に臨むことになった。勝てば優勝、敗れればオリックスにM1が点灯して事実上の敗北となる一大決戦。延長10回にもつれ込む激闘の末に松田宣浩が優勝サヨナラタイムリーを放って激戦に決着をつけた。それが2014年10月2日だったため、今年は「8年越し」の10.2の再来というドラマもあった。
また、2018年と2019年はシーズン2位に終わったが、いずれの年もクライマックスシリーズを勝ち上がり日本一に輝いた。日本シリーズにしてもダイエー最後の日本一だった2003年から8回連続でセ・リーグ球団を倒している。