格闘技PRESSBACK NUMBER
キック界の“那須川天心ロス”を癒やすのは誰か? 惜敗の原口健飛に辛勝の海人、かつて魔裟斗が放っていた「ホンモノのオーラ」を持つものは…
posted2022/09/09 11:01
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph by
Susumu Nagao
“神童”那須川天心は6月19日の武尊との夢の対決を最後に、キックボクシングを卒業した。身を置いたキックボクシング界だけではなく、格闘技界全体に影響を及ぼす逸材だっただけに、天心ロスは計り知れない。
しかし、いつまでも懐かしんでばかりいるわけにはいかない。すでにポスト天心を巡る闘いは始まっている。8月21日には、那須川がホームリングとしていたRISEがエディオンアリーナ大阪でビッグマッチを開催。那須川vs.武尊が組まれた『THE MATCH 2022』で劇的な勝利を飾った原口健飛や海人らも出場した。
次代のエース候補・原口健飛は奮闘及ばず…
原口は昨年11月の大阪大会で完敗を喫したGLORY世界王者ペットパノムルン・キャットムーカオ(タイ)と、新設されたRISE世界スーパーライト級王座を賭け再戦。戴冠が期待されたが、延長戦の末に判定負けを喫した。
前回対戦ではワンキャッチ・ワンアタック(一回の掴みに対しての攻撃は一回のみ)というRISE特有のルールに適応し、組んでは一発だけヒザ蹴りを放つペットパノムルンのインサイドワークに手を焼いたが、今回の原口は見事に対応していた。接近戦になっても、タイ人の好きなヒザ蹴り中心の攻防になることはなかったのだ。
では何が勝負の分かれ目となったかといえば、ペットパノムルンの左ミドルキックだった。前回のように一方的にダメージを与えたわけではなかったが、ムエタイをベースとするタイ人特有の、ポイント取りに徹したタイミングのいい連打で印象点をたぐり寄せた格好だ。
9カ月前と比べると明らかにポイント差は縮まっていたが、結果として乗り越えることはできなかった。『THE MATCH 2022』ではK-1の山崎秀晃を相手に圧倒的な差を見せつけ2RKO勝ち。K-1ファンを震撼させる強さを見せつけるとともに知名度を上げた原口だったが、世界は広かった。