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「名前付きでお尻のアップの写真を上げられて…」女子陸上選手の“性的画像”告発にJOCも動いた「私たちも大会で何度も悔しい思いをしてきた」

posted2022/09/25 11:03

 
「名前付きでお尻のアップの写真を上げられて…」女子陸上選手の“性的画像”告発にJOCも動いた「私たちも大会で何度も悔しい思いをしてきた」<Number Web> photograph by Getty Images

女子陸上選手たちの告発に日本陸連、JOCが動き出すことになった。その起点となった選手たちの思いとは

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鎌田理沙(共同通信)

鎌田理沙(共同通信)Risa Kamata

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 共同通信運動部の報道により、JOCなどが動き出し、東京五輪でも話題となった女性アスリートの盗撮被害や性的画像問題。問題化する以前、陸上の女性選手たちは被害を告発する意見書の提出を試みようとしていた――。
 前編に引き続き、『アスリート盗撮』(ちくま新書)=共同通信運動部編〈鎌田理沙、品川絵里、益吉数正、田村崇仁〉=より内容を一部抜粋して掲載する(全3回の2回目/前回は#1、次回は#3)。

なにかアクションを起こそう

 2020年9月15日、意見書をとりまとめていたという陸上競技の女性B、C選手と、都内で対面取材をすることになった。B、C選手ともに世代を代表するアスリートで、そのうち一人は国際大会で日の丸を背負った経験もある。

 自分と近い世代の選手が被害を受けていることに悲しくやりきれない気持ちになる一方、若い女性が不条理さを自ら声に出して、対応を求めて所属する組織に訴えかけていることは、同じ日本に住む人間として心強く感じる話だった。

 B選手が7月、自身のSNSで会場での隠し撮りやユニホーム、自分の容姿について性的になじるような発言について、苦言を呈したのが始まりだった。その投稿に反応したC選手が「なにかアクションを起こそう」と声をかけ、意見書の作成に乗り出したという。

 ただ、問題提起に向けて課題は多い。8月に入ってからアスリート委員長の高平(慎士)さんから紹介された日本学生陸上競技連合(日本学連)の弁護士と連絡を取って、送られてきたメッセージや画像を見てもらっていたが、どれも法的に裁けるラインを超えてこないのだという。当時は集まった被害事例を整理しながら、弁護士が被害を警察に持ち込んだり、日本陸連(日本陸上競技連盟)に相談をしたりしているということだった。

消えない「デジタルタトゥー」

「これは自分たちだけの問題じゃなかったから、SNSで自分たちだけ発信しているのもどうかと思っていた。大きい組織が動いてくれたほうがいい。私たちが言っているだけでは(組織は)動かないということも知っているので、アスリート委員会なら動いてくれるという期待はあります」(C選手)

 2人はネット世界での画像や文言の拡散に警戒心を強めているようだった。

 近年スマートフォンの発達により、他人が勝手に投稿した写真が本人を含め無数の人の目に入るようになった。一度ネットに拡散されたデータは、瞬く間に広がり、発信元が削除をしたとしても、消え去ってくれない。こうしたネットでのデータの痕跡は「デジタルタトゥー」と呼ばれる。

 会場で競技をしている写真をファンが撮ってネットにアップしたものではなく、性的な意図を持った悪意のある投稿だ。その違いは一目見ただけで分かるからこそ、互いの同意がない性的な投稿をした後の、そのデータが持つ影響力を考えてほしい、と2人は口をそろえた。

【次ページ】 1回ネットに上がるとずっと残る

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