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「名前付きでお尻のアップの写真を上げられて…」女子陸上選手の“性的画像”告発にJOCも動いた「私たちも大会で何度も悔しい思いをしてきた」
text by
鎌田理沙(共同通信)Risa Kamata
photograph byGetty Images
posted2022/09/25 11:03
女子陸上選手たちの告発に日本陸連、JOCが動き出すことになった。その起点となった選手たちの思いとは
1回ネットに上がるとずっと残る
「アスリートのユニホーム姿を性的と思うのは人の性癖だし勝手にすればいいと思っていて。でもそれをその人にぶつける、名前付きでお尻のアップの写真を上げられて、それに卑猥な言葉が付いている。他の人がその子の名前で検索したときにそれが見つかるというのは、ただただ失礼な行動だし、その子は被害者だと思う。それはおかしいと私は言いたかったのですが、なかなか伝わらない」(C選手)
「そういう写真って1回ネットに上がるとずっと残るじゃないですか。絶対削除しきれないから、本当に応援してくれているんだったらそういうのも出さないでほしい。ちょっと考えれば分かるじゃないですか、SNSの恐ろしさってニュースになって、人が亡くなっている。安易に性的な写真を載せないでほしい」(B選手)
「競技を頑張りながら教職課程を取って先生になったとき、生徒って先生の名前調べるじゃないですか。そうしたら陸上やっていたときの写真に卑猥なコメントを付けられたものがたくさん出てくる、それがすごく嫌。そういうことが起きるからつらいよね」(C選手)
「被害を受けることを知らずに、いくらでもみんな(自分で)写真を載せちゃうんです。私らが中高生のときはそういう被害もないし、表に出ることもなかったので写真を載せても被害に遭うことはなかったですが、今はちょっと違うよね。どんどんSNSが発達してきて、そういう性的なものを見かけて敏感になってくる。でも知らずに上げて悪用されちゃう子が本当に多いから、それを幅広い人に知ってほしい。高平さんも言っていたけど、男性の指導者が多いから「そういう被害があるって知らなかった」って。だから私らが直接言ったり、記者さんの言葉を借りたりして、いろいろな人に周知して問題提起をしていくしかない」(B選手)
脚を覆うスパッツタイプの選択肢も
インタビューの途中に、露出が多い競技のユニホームについて選手目線のアイデアが出てきた。
現在世界のトップ選手をはじめ日本の学生の間で人気なのは、胸と腰部分が分かれて水着のような形になっているセパレートタイプ。もちろんこれまで通りセパレートを愛用するのも良いし、露出に抵抗がある選手は、脚を覆うスパッツタイプなどいろいろな選択肢から選んでいくのはどうかという案だ。
学生の選手は部活動のチームがユニホームをセパレートに統一していたり、実業団選手でもスポンサーとの兼ね合いでユニホームの形まで選べなかったりする事情はある。ただ、隠し撮りや性的な画像の拡散被害が拡大していることを選手以外のスタッフにも周知して、現状に対抗するすべを持つのは、これから必要になってくるのではないか。選手の選択肢を増やすことは、その人らしい競技人生を送るためにも大切な環境整備だ。