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村上宗隆・大谷翔平・山川穂高らは「昔と格段に違う」「高卒でも質が高い」セパ元本塁打王が断言する“スラッガー進化の要因”とは
posted2022/09/15 11:02
text by
間淳Jun Aida
photograph by
Sports Graphic Number
プロ10年目で自身初のホームラン王に輝いてから26年が経った。39歳で2度目のホームラン王になったのは15年前。中日と楽天、セ・パ両リーグでタイトルを手にした山崎武司氏は、時が流れる早さとともに、日本人長距離打者の進化を感じている。
「今の若い選手たちは、昔と比較にならないくらい技術が高くて驚かされます。高卒でプロに入った打者が、数年で一軍の戦力になるのが珍しくないほど対応力に長けています。昔と格段に違う、違い過ぎるほど違います」
山崎自身の現役時代より、技術が上がっていると断言
今シーズン、日本ではプロ5年目、22歳のヤクルト・村上宗隆内野手がホームラン争いを独走し、次々と新たな記録を打ち立てている。5打席連続ホームラン、史上最速での通算150号到達、史上最年少50号。現実味を帯びている三冠王を手にすれば、ロッテ時代に達成した落合博満氏の28歳を大幅に更新する。
海の向こうではエンゼルスの大谷翔平投手が昨シーズン、46本のホームランを放ち、日本人初のタイトルまであと一歩に迫った。今シーズンも投手として2桁勝利をマークしながら、打者でもリーグ3位となる34本のホームランを記録している。
村上や大谷のように突出した選手だけではなく、山崎氏は日本人の長距離打者が自身の現役時代の頃よりも格段に技術が高くなっていると断言する。実際、日本のプロ野球では日本人選手がホームラン王争いを制するシーズンが増えている。今シーズンは、セ・リーグが村上、パ・リーグは西武の山川穂高内野手がトップを走る。2位以下も日本人選手の名前が上位に並ぶ。
球種が増えているのに、変化球への対応力が高い
最近10年間を見ても、巨人の岡本和真内野手や西武の中村剛也内野手ら和製大砲がタイトルを手にしているシーズンが多い。ヤクルトのバレンティン、近鉄のブライアント、西武のカブレラといった助っ人に席巻されていた時代からは大きく変化している。
山崎氏は「外国人選手にハングリー精神が欠けていて、レベルが高くない」とした上で、ひと昔前と現在の日本人打者の違いを分析する。
「自分たちが若い頃は特に、変化球の対応に苦労しました。高卒5年が経っても、全然バットに当たりませんでした。昔よりも球種が増えているにもかかわらず、今の若い打者は変化球への対応力が高いです」