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村上宗隆・大谷翔平・山川穂高らは「昔と格段に違う」「高卒でも質が高い」セパ元本塁打王が断言する“スラッガー進化の要因”とは
text by
間淳Jun Aida
photograph bySports Graphic Number
posted2022/09/15 11:02
村上宗隆、大谷翔平、山川穂高。セ・パ、メジャーで活躍する現代スラッガーについて山崎武司氏は絶賛する
山崎氏は中日時代の1996年に39本のホームランを記録してタイトルを獲得している。愛工大名電からプロに入って10年目のシーズンだった。当時はクライマックスシリーズがなかったため、優勝に手が届かないチームは終盤になると若手に出場機会を与えていた。
山崎氏も一軍で打席に立ったが、レベルの違いを痛感させられるだけだった。プロ初ホームランは5年目、シーズン16本で2桁ホームランに初めて到達したのはプロ9年目だった。
当時を、こう振り返る。
「最初は全てにおいて駄目でした。直球もそうですが、変化球がバットに当たらない。お話にならないレベルです。1つ下の代で活躍した現在中日の監督をしている立浪(和義)は例外で、高卒の打者が3年、4年で一軍の主力になるのは現実的ではありませんでした。個人的には、一軍で打てるイメージすら湧きませんでした」
村上、山川、大谷に共通する“打った瞬間”とは
ヤクルトの村上はプロ2年目で36本のホームランを記録し、5年目の今シーズンは目の前に三冠王がある。同じく高卒でプロ入りした巨人の岡本は4年目で33本を放ち、昨シーズンまで4年連続で30本以上をマークしている。
西武の中村は4年目で22本のホームランを打っている。山崎氏は、エンゼルスの大谷や西武の山川らを含めた近年の日本人の長距離打者に共通点を見出している。
「軸足にためをつくるのが上手いです。打ちにいく時に右打者なら右足、左打者なら左足、どれだけ軸足に体重を残しながらステップできるかが打球を遠くに飛ばす鍵になります。軸足が全てと言ってもいいくらいです。村上も山川も大谷も構え方やタイミングの取り方には違いがありますが、打った瞬間に体が反り返るところは共通しています。体が前にいかず、軸足に体重を残しているためです」
こうした技術や、技術を可能にする体は短期間で作り上げられるものではない。山崎氏は、小学生から高校生までの環境が大きく影響していると考えている。
最先端の理論やトレーニング方法は今、プロだけのものではない。専門的な情報や動画はあふれ、意識の持ち方ひとつで上達するチャンスがある。それぞれの選手が食事やサプリメント、トレーニングに関心を持って体づくりに励んでいる。数字だけ見れば同じ体重でも、昔と今の選手では体の質が違うという。
“アマ指導者のレベル”も大きな要因と挙げるワケ
山崎氏が特に、大きく変わった点に挙げるのがアマチュアの指導者である。