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プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
“女子高生でヒールで双子”スターダム吏南が語った木村花への思い「花さんがいなかったら、プロレスをやめていた」《特別グラビア》
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2022/08/25 11:03
15歳の高校1年生ながら、ヒールとして存在感を発揮している吏南。かつて木村花と過ごした日々が、彼女にとって大きな支えとなっていた
高校の友達から「試合頑張って!」
3姉妹の次女である吏南に、姉と双子の妹に対して『この際だから言っておきたいこと』を聞いてみた。
「羽南には、『学校でもっと元気にしろ』って言いたい! もったいないですよ。中学までは明るかったのに、高校に入って暗くなっちゃった。いつだったかお母さんと一緒に高校のお迎えにいったら、羽南が昇降口から出てきたんです。その姿が根暗すぎて、もう、どうにかしてよ、って(笑)。妃南には『コミュ力をどうにかしろ』ですね。本人も自覚しているみたいですけど、しゃべるのが苦手なんですよ。私は3人の中では一番社交的で明るいし、一番よく遊ぶんで、そのへんが気になっちゃいます」
3人は同じ高校に通っている。元々、進学する意欲はあまりなかったという吏南だが、いざ通い始めてみると「行ってよかった」と感じている。
「推薦してくれた中学の先生には感謝しています。『吏南なら大丈夫だから』って後押ししてくれたんです。もし落ちていたら、少なくとも地元の高校には行かなかったかな。試合の遠征も楽になるし、朝帰りしなくていいし……。東京の高校に行って、寮に入ってプロレスを続けるか、プロレス一本に絞るかでした。ただ、(ロッシー)小川さんには『高校は行っておいた方がいいよ』と言われましたけど。
高校は楽しい。友達に恵まれましたね。早退するときは『試合頑張って!』と言ってくれます。しかも担任の先生がびっくりするくらいプロレスファンなんです(笑)。プロレスやっているって話したら、試合の動画とかぜんぶ見てくれました」
「説得力のある強さを」憧れは武尊や朝倉未来
近年、多くのレスラーが新たに参戦し、盛り上がりを見せているスターダム。小学生のころから同団体に所属する吏南は、負けず嫌いな一面を見せた。
「私には生え抜きの意地があります。その意地を見せないと。スターダムには新しい人たちが入ってきていますけど、受け身は私たちの方ができている。負けられない。説得力のある強さを身につけたいんです。そのためには、やっぱり基礎はしっかりしていた方がいいじゃないですか。デビューまで4年かかったけれど、今考えるとそのくらい練習期間があってよかったなと思う」
吏南は時折、卍固めを使う。武尊や朝倉未来といった格闘家に憧れを抱く現代っ子の彼女が、アントニオ猪木を知っているのかどうか気になった。
「アントニオ猪木さんって、体が大きくて怖そうな顔していますよね。でも、本当は優しいんでしょう?」
その「優しい」という言葉に、吏南の感性は鋭いと思った。「ダァーをやるおじいさんだと思っているでしょう」と筆者が問いかけると、15歳は嬉しそうに微笑んだ。
<妃南編へ続く>
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