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濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
衝撃のユニット脱退はなぜ…スターダムの“絶対的ヒロイン”なつぽいが語る真相「心の底から“潰してやる”と思われたかった」《特別グラビア》
posted2022/08/20 17:03
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Takuya Sugiyama
なつぽいは妖精になりたかった。
「子供の頃、サンタさんに手紙を書いたこともあるんですよ。“ティンカー・ベルがほしいです。無理なら(浴びると空を飛べる)妖精の粉だけでもいいです”って(笑)」
キラキラ光り輝き、小さくてもパワーに満ちていて、ちょっといたずら好きでお茶目。そんな存在に憧れていた。実は今でもそうで、プロレスラーになると“リングの妖精”“ハイスピード・フェアリー”がキャッチフレーズに。妖精には「マイナスな要素がまったくない」から好きだとなつぽい。
子供の頃から芸能界で活動し、12年続けたバトントワリングでは全国大会に。“女優によるプロレス”アクトレスガールズに入門、デビューを果たすと安納サオリと並ぶ2トップとして活躍する。
「プロレスでも芸能でもトップを取りたい。そう思って必死でした」
プロレス界では「女優に何ができる」と言われ、演劇に出ると「プロレス? 何がやりたいの」と白い目で見られる。どちらも実力で認めてもらうしかなかった。アクトレスガールズから東京女子プロレスを経てスターダムに参戦するようになったのは、そこが女子プロレス界でトップの団体だったからだ。
プロレスの価値観に染まらない、なつぽいの美学
ただ“妖精”がプロレスの価値観に染まりきることはなかった。たとえば筋トレも、ウェイトトレーニングより自重トレーニングがメインだという。
「試合スタイルはパワーよりも、飛んだり跳ねたり走ったり運動量を使うタイプ。相手じゃなく自分の体、自分の体重を自由自在に操るのが大事だと思うんです。だから自重トレーニングで自分の体重を感じるようにしてますね。
今は女性の筋トレも流行ってるじゃないですか。その中で私は新体操とかバトンの選手みたいな“美”な筋肉を求めていきたいです」
肌を焼いて精悍さを強調する選手もいるが、なつぽいは日焼け厳禁。「シンプルにしみ、そばかすを作りたくない。昔から紫外線に弱くて。美白は大事ですね」と笑う。
女子プロレス界の中でも、スターダムはとりわけ大所帯で競争が激しい。ハイスピード王座、アーティスト・オブ・スターダム(6人タッグ)王座を獲得したなつぽいだが、常に自分がどんな存在であるべきかを考えてきた。自分の個性はプロレスで“売り”になるのだろうかと。リングネームもそうだ。東京女子プロレスまでは「万喜なつみ」だったが、スターダム入りと同時にニックネームのなつぽいをそのままリングネームにした。インパクト重視、「ここ(スターダム)で闘うには普通じゃダメだと思いました」。