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プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
「私、学校では暗いんで…」妹思いの“現役女子高生ファイター”羽南が明かす「進路がプロレスラーになった日」《特別グラビア》
posted2022/03/24 17:01
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
スターダムの羽南は17歳の現役女子高校生だ。レスラー3姉妹の長女で、2つ下の中学3年生(今春卒業)の妹には双子の吏南(りな)と妃南(ひな)がいる。
そんな羽南は3月26日、両国国技館で保持しているフューチャー王座をかけて、吏南と戦う。姉妹対決だ。しかも高校生vs中学生という異例のカードは注目に値する。
「吏南は『妹、妹ってうるさい!』とか超生意気なんですよ。でも、吏南が一番に勝って、次期挑戦者になってよかった。私はものすごくうれしいんです。姉としてもうれしいし、プロレスラーとしてもうれしい。最終的にフューチャーのベルトが私の手から離れるなら、相手は吏南がいいと思っている。まだまだ防衛したいので、今回は私が勝つんですけどね(笑)」
普段の羽南は、妹思いのやさしい姉だ。
「向こうも楽しんでいるので、私も楽しみたいとは思うんですけど、さすがに暴言を吐かれながら顔を蹴られるのは屈辱的ですね(笑)。当日は両親も国技館に来てくれるみたいです。『両方を応援できないし、見たくない』って言っていました」
なんでも受け入れてしまいそうな姉と、なんにでも突っかかって、ちょっかいを出す妹。そんな構図は、傍目には微笑ましくも見える。
リング外での姉妹仲はどうなのか。「家では取っ組み合いはしない」というが、「そこのお茶とって」「とんないよ」といった些細なことがきっかけで口論になるそうだ。
羽南はあきれたように笑う。
「吏南は口の悪さが凄いので、悪口を言う時だけ頭の回転が速くなっちゃって負けちゃうんですよ。一度、帰りの車の中でケンカになっちゃって、吏南に髪の毛をグイーって引っ張られて、私もムキになってしまって、髪の毛のつかみ合いになっちゃった。運転していたママにすっごい叱られました(笑)。なぜか私にだけ反抗期の吏南だけど、普段は妃南や両親、友達にもすごく優しいし、思いやりのある本当にいい子なんですよ。大江戸隊メンバーに営業妨害って言われちゃうかな(笑)」
迷える17歳の進路が「プロレスラー」に決まった瞬間
羽南にとって、フューチャーのベルトは「生き方」を決めるだけの価値を持つものだった。
「フューチャーのベルトって、私が中学生の時にできたんです」
2018年3月、5人によるトーナメントが行われ、スターライト・キッドが初代王者に輝いた。フューチャー王座は、いわば若い選手の登竜門だ。羽南はその変遷を間近で見てきた。そして昨年12月、ベルトへの挑戦が決まった時、羽南は進路に悩んでいた。高校に入ったころからずっと、プロレスを続けるかどうか迷っていたという。