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「リベート総額56億円報道」「TV局報道部長の拷問死疑惑」「悪いヤツほどW杯で…」ブラジルサッカー会長の闇が深すぎ 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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posted2022/08/24 11:01

「リベート総額56億円報道」「TV局報道部長の拷問死疑惑」「悪いヤツほどW杯で…」ブラジルサッカー会長の闇が深すぎ<Number Web> photograph by Sports Graphic Number/JMPA

2002年W杯で優勝したブラジル代表。しかしその連盟会長は疑惑ばかりがつきまとう

 それまでのセレソンの用具メーカーはウンブロだったが、1996年、ナイキと10年間で1億6000万ドル(約217億円)という当時としては破格の契約を締結。その見返りとして、途方もない金額のリベートを得た。

 また、W杯、ブラジルリーグ、コパ・リベルタドーレス、コパ・ド・ブラジルなどの試合の放映権を特定のテレビ局に渡す代わりに、これまた巨額のリベートを手にした。

 さらに、2006年から6年間、スポーツマ-ケティング会社にW杯やW杯南米予選などの公式戦を除くすべての強化試合のマッチング(試合場所と対戦相手)を一任し、しかも招集する選手に関してもこの会社の意向を考慮するという異常極まりない契約を結び、その見返りとして多額のリベートを手にした。

世界各国に幽霊会社を作ってマネーロンダリング

 テイシェイラは、アベランジェに続くセレソンの第二期黄金時代を築いた。その一方で、アベランジェの手法を踏襲するのみならず、金融知識を悪用して世界各国に幽霊会社を作り、これらの会社へ落ちたリベートを自分が経営するブラジル国内の会社へ送金させてマネーロンダリングをするなど、新たな収賄の方法を編み出して私腹を肥やした。

 また、FIFA理事の立場を濫用してISLなどから巨額のリベートを手にしたとされる(2012年7月、英国の日刊紙「ガーディアン」はアベランジェとテイシェイラが合計4100万ドル=約56億円=のリベートを手にしたと報じた)。

 アベランジェがフットボールにおける贈収賄のノウハウを“発明”したとすれば、テイシェイラはそれらをさらに進化させたと考えていいだろう。

 ただ、彼は少しやり過ぎた。スペイン、フランス、アメリカなどで収賄、脱税、マネーロンダリングなどの容疑で訴えられ、ブラジル国内でもCBF会長就任後に資産が激増したことが税務署の目に留まった。

 1998年、CBFとナイキの癒着を調査する委員会が国会に設置され、テイシェイラは召喚されて委員たちから吊るし上げられた。ところが、その後、テイシェイラは委員の多くを買収することに成功し、結局、無罪放免となった。

テイシェイラ辞任後の新会長もとんでもない人物

 それでも、2012年にブラジルのテレビ局がテイシェイラの悪行の数々を暴く番組を放映すると、CBF会長を辞任。2019年、FIFAはテイシェイラをフットボールの世界から永久追放した。

 とはいえ、アベランジェ同様、テイシェイラもこれまで一度も塀の中へ落ちていない。外国へ行くと拘束される恐れがあるため、リオ郊外の自宅で息を潜めて生活している。

【次ページ】 2人の先人よりも“運が悪かった”逮捕劇

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