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「リベート総額56億円報道」「TV局報道部長の拷問死疑惑」「悪いヤツほどW杯で…」ブラジルサッカー会長の闇が深すぎ 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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photograph bySports Graphic Number/JMPA

posted2022/08/24 11:01

「リベート総額56億円報道」「TV局報道部長の拷問死疑惑」「悪いヤツほどW杯で…」ブラジルサッカー会長の闇が深すぎ<Number Web> photograph by Sports Graphic Number/JMPA

2002年W杯で優勝したブラジル代表。しかしその連盟会長は疑惑ばかりがつきまとう

 テイシェイラの辞任に伴い、副会長のジョゼ・マリア・マリンが会長に繰り上がった。しかし、彼もまたとんでもない人物だった。

 政治家出身で、サンパウロ市議、州議を歴任し、1年足らずながらサンパウロ州知事を務めた経歴を持つ。

 1964年に始まった軍事独裁政権に媚びを売り、1975年、あるテレビ局を「左翼的な報道が目立つ」と批判した。その直後、軍部はこの局の報道部長を逮捕する。翌日、軍部はこの報道部長が刑務所内で首吊り自殺をしたと発表。しかし、本当は拷問を受けて死亡したと報じられ、マリンの発言が報道部長の拷問死を招いたという見方がある。

 マリンも、公式戦のテレビ放映権を特定のスポーツマーケティング会社へ渡す代わりにリベートを受け取るなど、アベランジェとテイシェイラが行なった収賄の手法を踏襲した。

2人の先人よりも“運が悪かった”逮捕劇

 しかし、彼の場合は2人の先人より運が悪かった。

 2015年5月、FIFAの総会に出席するためチューリッヒの高級ホテルに滞在中の早朝、FBIの指示を受けた地元警察に収賄容疑で逮捕された。そして、ニューヨークへ移送されて裁判にかけられ、2018年、4年の禁固刑を科せられて刑務所に収監された。

 2019年、FIFAはマリンをフットボールの世界から永久追放した。それでも、2020年、アメリカ司法当局は彼の87歳という年齢と健康状態を考慮して釈放。チューリッヒで電撃的に逮捕されてから5年後、ようやくブラジルへ帰国した。

 2015年、職務遂行が不可能となったマリンに代わってマルコ・ポーロ・デル・ネロが会長に就任した。

 ところが、彼もサンパウロ州サッカー協会会長時代から収賄を繰り返してきた輩だった。2015年にマリンがスイスで逮捕されたのを見て、国外へ出ると自分も逮捕される可能性が高いと判断。FIFAの総会や理事会への出席を頑なに拒み続け、メディアと国民から失笑を買った。そして、2017年12月、FIFAは彼もフットボールの世界から永久追放した。

 テイシェイラから実に3代連続で、CBF会長が永久追放処分を受けた。

会長のスキャンダルはなおも続いた

 しかし、CBF会長のスキャンダルはなおも続いた。

 2019年に会長に就任したロジェリオ・カボクロは、翌年、CBFの女性職員からセクハラとパワハラで訴えられる。2021年、CBFの倫理委員会はカボクロの行動に大きな問題があったと判断し、職務停止処分を下した。

 現在の会長は、ブラジル北東部出身のエジナウド・ロドリゲス。経済界出身で、長くバイア州サッカー協会会長を務めた。職務停止のカボクロに代わって2021年から会長代行を務め、その後、今年、選挙を経て正式に会長に就任した。

【次ページ】 “悪い会長ほどW杯で結果を出す”という闇

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