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昨夏の王者・智弁和歌山がまさかの敗退…“背番号1”を重んじる中谷仁監督を悩ませた“ダブルエース”の存在「僕の経験不足」 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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posted2022/08/14 11:05

昨夏の王者・智弁和歌山がまさかの敗退…“背番号1”を重んじる中谷仁監督を悩ませた“ダブルエース”の存在「僕の経験不足」<Number Web> photograph by KYODO

春の近畿大会では大阪桐蔭の連勝記録を止めるなど、今年の夏も優勝候補の一角に挙げられていた智弁和歌山。勢いに乗る国学院栃木を前に悔しい敗退となった

 武元は打者としても期待される存在で、登板しない時もライトで出場するため、リリーフより肩を作りやすい先発で、という思いもあったかもしれない。

 1回裏、武元は2死から連打と四球で満塁とし、2点適時打を打たれた。全体的にはストレートやキレのあるスライダーが低めに決まっていたが、たまに甘く入る球を、国学院栃木打線は逃さず一発で仕留めた。だが智弁和歌山も2回表、8番・中塚遥翔の適時打と9番・山田久敬のスクイズですぐさま2-2の同点とした。

 中谷監督が悔やむのは6回の継投だ。6回表、中塚の内野ゴロの間に1点を挙げ3-2とこの試合初めてリードした。ブルペンで準備していた塩路を、6回裏の頭から投入することも考えたが、2回以降、武元が調子を上げていたため、続投を判断した。

 その6回裏に、守備のミスも絡んで3-3の同点とされ、さらに、好調の国学院栃木6番・長田悠也のタイムリーで3-4と逆転された。ここで、塩路がマウンドに上がると、打者2人を抑えてピンチを切り抜けた。

「6回のところで、武元で行くか、塩路で行くか、僕の迷いが大きくて。あそこの決断というのが、僕の中では悔いが残っています。(武元の)状態が上がってきたかなと、僕のほうが後手を踏んでしまって、失点を重ねてしまったと反省しています」

「選手に背負わせすぎた」「僕の経験不足」

 昨年、就任3年目で全国制覇を果たした後も、中谷監督は、「自分はまだ何も成し遂げていない」と言い続けていた。謙遜ではなく、監督業の、野球の、奥深さや難しさを感じていたからだろう。

 この日の試合後は自身の力不足を何度も口にした。

「打線もここ一番というところで選手に背負わせすぎた。狙い球の徹底など、僕の指示不足で、僕の責任。(連覇への)周りの期待やプレッシャーも、取り除いてやることができなかったし、いろんなものを背負わせすぎたというところで、僕の経験不足。もっとこうすることができたんじゃないか、ああすることができたんじゃないかと反省しています」

【次ページ】 選手たちも敗戦としっかり向き合う

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