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甲子園出場の経費は2000万円!? ケタ違いでも学校・地域が“高校野球の経済効果”に力を入れるワケ〈昔は池田・箕島、今は21世紀枠〉 

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手束仁

手束仁Jin Teduka

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posted2022/08/07 11:02

甲子園出場の経費は2000万円!? ケタ違いでも学校・地域が“高校野球の経済効果”に力を入れるワケ〈昔は池田・箕島、今は21世紀枠〉<Number Web> photograph by JIJI PRESS

春夏連覇などで甲子園を沸かせた箕島高校。このような公立校にとっては「町おこし」の一面もある

 それぞれの土地で地元の学校、いわゆる「おらが学校」と言われているようなところが全国の舞台に繰り出すことで、その土地そのものも広く紹介されていく。また、生徒獲得という意味では、定員割れしかねない過疎化の進む土地にあるような公立校にとっては、非常に大切なこととなる。地域を活性化していくということは、今の時代では非常に大事な要素でもある。高校野球は、その一端を担っているといっても過言ではないのだ。

 2021(令和3)年には、センバツ出場を果たした長崎県の離島の大崎や、21世紀枠出場を果たした沖縄県の具志川商や静岡県の三島南なども、十分に地域の文化経済の発展に貢献していると言えるであろう。

甲子園出場が決まると、どれだけの経費負担が生じるのか

 コロナ禍ではあったが、2年ぶりに開催された2021年春のセンバツは、アルプス席に入る応援団も入場制限があって、従来のようにブラスバンドの演奏はなく、事前に録音されたものを流すのみということになった。

 それでも、チアリーダーも含めた応援団はOKということで、親や学校関係者を含めて千人上限ということではあったが動員されていた。本来ならば、多くの在校生や父母たちや関係者が詰めかけて、それぞれが手に手に応援グッズなどを持って声を枯らせながら応援するのだが、今回はそういうスタイルではなかった。

 そういう意味では、かつて例のない形でのアルプスの応援風景となった。対応も学校によって異なっていた。中京大中京などは、準々決勝になってやっとチアリーダーの派遣が解禁された。それでも、そこから2試合を戦えたのはさすがと言っていいだろう。

 それでは、コロナ以前の2019年までの甲子園出場の場合、果たして応援団経費などはどれくらいを見ていたのだろうか。

 参考までに、21世紀枠で初出場を果たした学校の、おおよその応援予算を取材させていただいたら、[表5]のようになっていた。

 甲子園出場を果たすと、主催者からベンチ入り選手分とマネージャー、引率の責任教師、監督の交通滞在費は支給される。しかし、当然のことながら、現地での滞在期間中の練習のことなども考慮しなくはならない。

ユニフォーム、周辺グッズなどの新調も

 まずは、練習場所の確保がある。滞在期間が長くなればなるほど、日々の練習場所の確保も必要となる。それに、練習補助となるベンチ外の選手たちの滞在費用などは、当然当該校の負担ということになっていく。

 さらには、現地でもなるべく普段と同じ状態、同じ環境で過ごせるように配慮して、日々使用しているウエイト器具やマシンなどを運搬するところもある。そういう場合は、やはり別途運搬費用などもかかっていく。

【次ページ】 出場決定から、応援のための資金集めまでの流れとは

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