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甲子園出場の経費は2000万円!? ケタ違いでも学校・地域が“高校野球の経済効果”に力を入れるワケ〈昔は池田・箕島、今は21世紀枠〉

posted2022/08/07 11:02

 
甲子園出場の経費は2000万円!? ケタ違いでも学校・地域が“高校野球の経済効果”に力を入れるワケ〈昔は池田・箕島、今は21世紀枠〉<Number Web> photograph by JIJI PRESS

春夏連覇などで甲子園を沸かせた箕島高校。このような公立校にとっては「町おこし」の一面もある

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手束仁

手束仁Jin Teduka

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104回目を迎えた夏の甲子園。47都道府県の代表校が白球を追う熱い闘いを見せる中、近年の高校野球部は“金銭面”でどんな運営をしているのか。高校野球取材豊富なライターが記した『令和の高校野球 最新マネー事情』(竹書房)より一部転載します(全3回の3回目/#1#2も)

 よく、甲子園出場による経済効果ということが言われる。果たして、その具体的な効果とはどのようなものなのだろうか。

学校名が広く知られれば入学志望者が増える

 一番わかりやすいところで言えば、やはり私立校では顕著なことなのだが、学校名が広く知られるということである。そして、そのことで、私立にとっての生命線とも言える入学希望者(志願者)が増えていく。受験生が増加すれば、単純に受験料だけでも増収ということになる。

 校名を認知されるということで言えば、高校野球で活躍することは、他のスポーツ競技よりもはるかに効果が高い。そのことに関しての詳細は、歴史的な部分も含めて後述する。簡単に言えば、メディアと野球との関係性からも、学校経営というところからも、高校野球の活躍が経営的に明るいものになるのは、圧倒的な事実だということになる。このことは確かである。

 さらには、受験生が増えればそれに比例するかのように、入試レベルは上がっていく。入試レベルが上がれば、当然のことながら入学してくる生徒の質も上がってくる。それは単純に、偏差値が上がっていくということだけにとどまらない。生徒の質が上がれば、自然と進学クラスや特進クラスといったクラスが増設される。

 そのことで、地域で進学を目指す生徒の志願者が増える。結果的に、地元での評判も高くなっていく。こういった連鎖が起きてくるのである。

 また、生徒の質が上がれば、地元で支えてもらえる傾向も大きくなっていく。地元で学校の存在が認められていくということは、地方都市へ行けば行くほど、さらに重要な要素となっていくのだ。これは、何も私立校に限ったことではない。公立校であればこそ、より地域で愛される存在、認められる存在であるか否かは、野球部としての活動にも影響を与えてくる。

高校野球は地場産業的要素もある

 地元での評判を得ると、「〇〇高校の生徒さんはいいねぇ」ということになっていく。学校運営にとって、地域の評価は不可欠な要素でもある。いかに地域の存在として認められているのかということは、とても重要になるのだ。それは、今の時代はテレビや新聞報道だけではなく、Web媒体をも含めて露出が多くなっていくからだ。

 メディアでの取り扱いが増えると、それらがさらにSNSなどで拡散されていき、よりメディアからも注目される存在となる。そうなると、ますます地域での評判は大事な要素となってくるのである。評判が良ければ、さらに人気が出てきて、志望者が増えていくということになる。

 こうして、高校野球の活躍によって校名が知られることで、地域社会からも評価されていくということが、相乗効果として表れてくるのである。

 だから、高校野球は地場産業的要素もあるということになる。たかが高校野球が、たかがでは済まなくなるのは、そんな現象があるからだ。

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