将棋PRESSBACK NUMBER

羽生善治九段1500勝と「水どう藩士説」 “藤井聡太対策”に「これくらい普通です」渡辺明名人が神解説だった〈観る将マンガ家の将棋ハイライト〉 

text by

千田純生

千田純生JUNSEI CHIDA

PROFILE

photograph byTadashi Shirasawa/Junsei Chida(illustration)/日本将棋連盟

posted2022/07/01 06:00

羽生善治九段1500勝と「水どう藩士説」 “藤井聡太対策”に「これくらい普通です」渡辺明名人が神解説だった〈観る将マンガ家の将棋ハイライト〉<Number Web> photograph by Tadashi Shirasawa/Junsei Chida(illustration)/日本将棋連盟

観る将マンガ家・千田先生が描いた「6月の将棋ハイライト」。これまでのイラストは関連記事からもご覧になれます!

 まずは棋聖戦第2局での「おやつ」について。藤井棋聖は「オレンジジュースとアイスティー」、永瀬王座は「アイスコーヒーとアイス抹茶、ホット抹茶」と飲み物ラッシュでした。中継を見ていて「おやつに飲み物多いなあ」と思っていたところ、王位戦解説の際に渡辺名人がこんなニュアンスで話していました。

〈部屋にデザート食べに行くのが(時間を使うのが惜しいという意味で)めんどくさいから、飲み物を多く頼むんですよね〉

 文字にすると、身も蓋もない(笑)。ただたしかに終盤になればなるほど1分1秒でも効率よく時間を使いたい。その一方で水分・糖分補給したいとなれば……という意味で理にかなっているなと。

「研究量、ものすごいですね」「このくらい普通ですよ」

 さらに背筋が凍り付いた(もちろんいい意味で)のは、竹部さゆり女流四段との「研究量」についての掛け合いです。先ほど触れた王位戦第1局、豊島九段の緻密な戦いぶりについて、竹部女流四段が「豊島九段の研究量、ものすごいですね」と話したところ、渡辺名人がスパッと一言。

「このくらいは普通ですよ」

 ……はい、すみませんでした。でも、渡辺名人たちが考えている藤井五冠対策の「普通」レベルとは、僕ら凡人では計り知れないものなのだなあと実感しました。

 もちろん渡辺名人はこれ以外にも「先手番(豊島九段)としては理想的です」など、形勢や対局の展開予想をハッキリと示してくれる(そして実際その通りになる)など、本当に面白かったです。お忙しい時期が続くかと思いますが、対局とともに「渡辺節」を耳にできる機会を心待ちにしたいと思います。

 冒頭で羽生先生の通算勝利数が1500勝に達したことを話題にしました。渡辺名人(712勝/勝率.659)や藤井五冠(270勝/勝率.831)、永瀬王座(437勝/勝率.708)に豊島九段(548勝/勝率675)も1つずつ勝利を積み上げて、どこまでの境地に達するのか――目の前の一局とともに、将来に思いを馳せながら、数々の対局を楽しみたいと思います!<構成/茂野聡士>

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

関連記事

BACK 1 2 3 4
藤井聡太
渡辺明
豊島将之
斎藤慎太郎
里見香奈
羽生善治
西山朋佳
佐藤天彦
永瀬拓矢
先崎学
阿久津主税
山崎隆之
梶浦宏孝
竹部さゆり
松尾歩
水曜どうでしょう

ゲームの前後の記事

ページトップ