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天心vs武尊級の頂上決戦へ…“真面目な不良”だった海人はなぜシュートボクサーの道を選んだのか?「僕がこの競技を世に広める」 

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph byRIZIN FF Susumu Nagao / SHOOT BOXING

posted2022/06/18 17:02

天心vs武尊級の頂上決戦へ…“真面目な不良”だった海人はなぜシュートボクサーの道を選んだのか?「僕がこの競技を世に広める」<Number Web> photograph by RIZIN FF Susumu Nagao / SHOOT BOXING

『THE MATCH 2022』でK-1ウェルター級王者の野杁正明と対戦する海人。中学時代は不良の道に走ったが、「ダサいこと」には手を染めない主義を貫いた

酒もタバコもやらずに「超硬派な不良」を貫く

「俺は格闘技で生きていく」と心に決めたのは、中学生のときだ。学校にはほとんど行っていない。世間からは不良のカテゴリーに当てはめられる生徒だった。

「いまは誰もそんなふうには思わないだろうけど、その頃の僕は悪い人間だった。テストなんか1回も受けたことがない。ケンカで人を殴ったこともあります」

 ただ、万引きやイジメなど、自分でダサいと思ったことには一切手を出さなかった。

「自分が小学生の頃に憧れた、“カッコいい不良”になろうと思っていました」

 仲間たちの誘いに応じて酒やタバコに興じることもなかった。

「格闘技の練習だけはしっかりやっていたので、真面目に不良をやろうと思ったんですよ。シンナーとか薬に誘われたこともあったけど、自分が想像する不良はそういうものではなかった。絶対に周りに流されないようにと心がけていました」

 中学卒業後は格闘技に専念したかったので、周囲がどう騒ごうと高校進学は頑として拒んだ。

「お父さんは何も言わなかったけど、お母さんにはものすごく怒られましたね。でも自分で決めたことなので、『高校には絶対行けへん』と言い張りました」

 一度決めたら、テコでも引かない。「高校くらいは行った方がいい」という声にも耳を貸すことはなかった。

「自分の気持ちを中途半端にしたくなかった」

 当然、周囲には「まだプロデビューも決まっていないのに」「絶対に食っていけない」と冷たい視線を投げかける大人が多かった。それでも、海人は「黙って見ておけ」と心の中で叫んだ。

「そのくらいの覚悟を抱いてやらないと、格闘技の世界では上がっていけないと思っていたんですよ」

 結局、中学卒業後は週に2~3回の現場仕事をしながら、練習時間だけはしっかり確保するという生活を送った。

「友達はみんな高校に行っていたので違和感はあったけど、少しずつそんな僕を応援してくれる人も出てきました」

【次ページ】 「シュートボクシングの強さを証明したい」

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