野杁正明との“もうひとつの夢の対決”の行方は

　今回対戦する野杁正明は、K-1で“怪物”と称されるウェルター級王者だ。現在は怒濤の9連勝中で、直近の4試合はいずれもKO勝ちを収めている。まさにいまがピークのキックボクサーと言っていい。

　お互いにホームでは敵なし。日頃交流のない団体同士の“夢の対決”の話題になると、天心vs武尊とともに、必ずと言っていいほどこの一戦も取り沙汰されていた。

　野杁との対戦について、海人は「素人さんからしたら、面白くない試合に見えるかもしれない」と予想する。

「テクニックvsテクニック。フェイントvsフェイント。本当に一発で流れが変わるような斬り合いになると思う。ファンの方はどう思うかわからないけれど、選手や関係者の方々からは『すごい緊張感やな』というふうに受け取ってもらえるかもしれない」

　ただ、心配は無用だ。試合順は全15試合中のセミファイナル。マッチメイクは対抗戦を軸としているだけに、セミファイナルを迎えるまでに否が応でも会場の雰囲気は暖まっているだろう。当日は最大5万人の動員が見込まれているが、それだけの大観衆の期待に押されると、選手たちは張り切らざるをえない。

　対戦相手が決まると、海人は“黒い影と闘っている夢”を見るという。

「夢の中で闘いの答えを見つけようとしているみたいで、ビックリするくらいの衝撃を受けて飛び上がることもある。そういう朝は、なぜか練習もうまくいったりするんですよね」

　決戦直前、野杁に見立てた黒い影と、夢の中でどんな闘いを繰り広げているのだろうか。海人の目には、青い炎がメラメラと燃え上がっている。

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