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格闘技PRESSBACK NUMBER
天心vs武尊級の頂上決戦へ…“真面目な不良”だった海人はなぜシュートボクサーの道を選んだのか?「僕がこの競技を世に広める」
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byRIZIN FF Susumu Nagao / SHOOT BOXING
posted2022/06/18 17:02
『THE MATCH 2022』でK-1ウェルター級王者の野杁正明と対戦する海人。中学時代は不良の道に走ったが、「ダサいこと」には手を染めない主義を貫いた
「シュートボクシングの強さを証明したい」
格闘技歴は長い。小学生のとき、すでに顔面ありのフルコンタクト空手(グローブ空手)を始めている。アマチュア時代は空手やキックボクシングの大会に出場していた。
15歳以上になれば、プロの大会にも出場可能になる。当時所属していた道場はシュートボクシング傘下だったので、海人は迷った。
「シュートボクシングで生きていくか。キックボクシングで生きていくか」
前者と後者は似て非なる立ち技格闘技だ。その名の通り、キックボクシングは蹴り、パンチ、ヒザ蹴りがOKのムエタイをルーツとした日本生まれの格闘技だ。
一方のシュートボクシングは、かつてキックボクサーとして活躍したシーザー武志が、キックに投げや立ち技での極め技を加味した競技を考案したもの。1985年にスタートした、比較的新しい立ち技格闘技だ。RIZINで活躍中のRENAも、シュートボクシング出身として知られている。
海人はシュートボクサーとして生きていくことを決めた。その理由がふるっている。
「シュートボクシングの中量級といえば、アンディ・サワーさんや緒形健一さんがK-1でも活躍していたけど、僕がプロになる頃にはふたりともベテランになっていて、いつのまにか名前を聞かなくなっていた。そのせいで(道場以外だと)シュートボクシングの存在を誰も知らない。『この競技を世の中に広めることができるのは僕しかいない』と思い、やり始めました」
デビューから白星を重ねた海人は、新人時代から目立つ存在だった。ルールはシュートボクシングだけにこだわらず、オファーがあればキックの試合にも積極的に出場した。
「僕は挑戦する気持ちが強い。シュートボクシングを選んだのもキックボクサーに勝ってその強さを証明したかったから。キックのリングではキックのルールで勝つ。シュートボクシングのリングでキックボクサーと戦うときは、シュート独自の技術を使わずに勝つ。これからも『本当は投げも関節技も使えるけど、使わなくても強い』というところを見せていきたい」