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「YouTubeで福岡さんのプレーを…」ウイング歴1年でジャパン候補に! 元NZ代表が「独特なスキル」と褒める根塚洸雅の才能とは?
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byJRLO
posted2022/06/09 06:00
リーグワン初代新人王とベストフィフティーンを受賞したWTB根塚洸雅(23歳)。日本代表候補に選出され、まずはNDSメンバーからアピールを誓う
WTBでベストフィフティーンを受賞した根塚だが、WTBでのプレーを始めたのはスピアーズに入団してから。WTB歴はまだわずか1年なのだ。
「高校(東海大仰星)から大学(法大)までは主にCTB、大学4年ではFBでプレーしていました。でも『スピアーズではWTBでプレーしてもらおうと思っている』と言われて、WTBの動きを勉強するためにYouTubeとかで福岡さんのプレーを勉強したんです」
狭いスペースで猛加速し、相手の手がギリギリ届かないところを抜けていく――スリリングでエキサイティングな根塚の走りは、世界を驚かせた福岡堅樹を手本にして生まれていた。
「ためらいがない」福岡堅樹との共通点とは?
だが共通点は、意識したものだけではなさそうだ。スピアーズのアシスタントコーチを務める田邉淳はこう言った。
「コーガ(根塚)の良さは怖いもの知らずなところですね。思い切りがいい。これは福岡堅樹も同じでした」
田邉はFBとしてトップリーグのベストフィフティーンや得点王を獲得し、日本代表にも選ばれた。引退後は3年前までワイルドナイツのアシスタントコーチを務めていて、福岡堅樹もルーキー時代から指導していた。ハイボールキャッチの練習の時、田邉コーチはマットレスのような大型パッドを背負い、ボールの落下点で選手を待ち構えている。選手には背を向けるので、誰が捕りに来たか/飛んできたかは見えない。だが福岡のときは衝撃で分かったという。
「ケンキはためらいがないんです。衝撃がスゴかった。コーガもそこは同じです」
福岡のサイズは175cm83kg。決して大きくはないが、海外の大型選手と競り合っても競り負けずにハイボールをキャッチするスキルに優れていた。それがアンストラクチャーからの攻撃、キッキングラグビーを重視するジェイミーのゲームプランにはまり、19年W杯の大活躍につながった。173cm82kgの根塚も、そこに通じる要素を持っていると田邉はいうのだ。
中学時代は陸上とラグビーの掛け持ち
根塚自身は、自分の多彩なスポーツ経験に感謝している。中学時代は陸上部に所属し、走り幅跳びなど跳躍種目に取り組んでいた。ラグビースクールとの掛け持ちで、陸上の大会にはほとんど出ず、記録は残っていないというが「ハイボールキャッチでジャンプするときに歩幅のタイミングを合わせる動きとか、生きているかなと思います」。
ジャンプだけではない。
「ラグビースクールには幼稚園の年中組のときから通っていましたが、小学生のときはバドミントン、水泳もやっていました。バドミントンのときはラダーとかを使ってアジリティのトレーニングをしていたので、それが細かいステップに生きていると思います」
小刻みなステップに関しては福岡堅樹よりも松島幸太朗に通じるかもしれない。相手に的を絞らせない動き。