ただし、WTBとしてはまだ発展途上だ。田邉は指摘した。

「コーガは最初の3～4mの加速がすごい。そこはケンキにも負けないと思う。ただ、ケンキはそこからそのまま30mとか40mとかを走りきってトライを取りきる力があった。コーガはまだ、そこまでは取りきれない」

　だが、WTBらしさが足りないのは当然のこと。それはWTBとしての伸びしろであり、見方を変えれば違う経験を持っていることだ。たとえば根塚の魅力、ステップを切ってもタックルを受けても、体の芯がぶれない体幹の強さ。それは根塚がCTBで培ってきた財産であり、大学からシニアにステージをあげても即活躍できている理由でもある「強いタックル」の秘訣だ。

「ディフェンスは元々CTBでプレーしていたので、やれて当たり前だと思っています。大学のときは、リーグ戦グループのトイメンは外国人ばかりだったし、タックルは芯で強く当たっていくことが身につきました。そこはWTBでも引き継いでやっています」

福岡＋松島のハイブリットなWTB

　日本代表合宿へ向けた抱負について、根塚は言っていた。

「日本で一番のところへラグビーをやりにいくわけですから。心がけることは、練習とか、あらゆるところで『引かない』ことですね。結果として日本代表に入れるも入れないも、攻めた結果なら自分で納得できる。もしも代表に入れたら、相手を過大評価したりしないで、楽しむことを意識したいです」

　軽やかな口調が頼もしい。

　ラグビー歴は長いがWTB歴は短い。先人たちから素直に学ぼうとする謙虚な姿勢と多彩なスポーツ経験とがあいまって、福岡堅樹の加速・ハイボールキャッチと松島幸太朗のアジリティ・ショートステップを兼ね備えたハイブリッドなWTBが誕生しようとしている。

　何よりの魅力はすべてが発展途上であること。23歳は、この夏の日本代表テストマッチシリーズで、どんな進化を遂げるのだろう？

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