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「YouTubeで福岡さんのプレーを…」ウイング歴1年でジャパン候補に! 元NZ代表が「独特なスキル」と褒める根塚洸雅の才能とは?
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byJRLO
posted2022/06/09 06:00
リーグワン初代新人王とベストフィフティーンを受賞したWTB根塚洸雅(23歳)。日本代表候補に選出され、まずはNDSメンバーからアピールを誓う
アワードの翌日、31日には2022年夏の日本代表活動に関する会見が行われた。明らかにされたのは、6月3日からNDS(ナショナルデベロップメントスコッド)と日本代表、それぞれ34人ずつ、2つのチームが別府と宮崎で別々に合宿をスタート。NDS組は6月11日に行われるトンガ海底火山噴火被災地救援のチャリティー試合と、18日のウルグアイ戦の2試合を戦う。そこから数人が日本代表に引き上げられ、25日のウルグアイ第2戦と7月のフランス戦の2試合に備えるというスケジュール。
根塚の名はNDS側のリストに記されていた。つまり、試合に出て、活躍して、上がっていかなければならない。立場は決まった。
翌6月1日、スピアーズのシーズン終了会見とファン交流会が行われた。この日の会見で、スピアーズのBKに君臨する2人のレジェンドに話を聞く機会があった。ニュージーランド代表で48キャップを持つCTBライアン・クロッティ、オーストラリア代表で71キャップを持つSOバーナード・フォーリー。世界の頂点で、多くの優れたWTBとプレーしてきた彼らの目に、根塚はどう見えているのだろう?
クロッティは答えた。
「コギー(根塚)はフットワークもスピードも素晴らしい。独特のスキルを持つユニークな選手だ。誰かに似ているかどうかは分からないけれど、彼自身が自信を持って、謙虚に努力していけば、もっともっと優れた選手になれるよ」
オールブラックスには、初めて代表入りした選手に先輩が厳しく接する伝統がある。日本代表HCも務めた、かのジョン・カーワン卿は、19歳で初めてオールブラックスに呼ばれた際、先輩選手にこう聞かれたそうだ。「お前はどんなオールブラックを目指すのか。ただのオールブラックか、何年か活躍するグッドオールブラックか、長く活躍するグレートオールブラックを目指すのか?」呼ばれたことで満足するな。もっともっと上を目指せ。謙虚であれ――クロッティは、根塚をオールブラックスと同じ基準で見ていた。
「福岡堅樹に似ているかな」
そしてフォーリーの答え。
「コギーはアスリートとしての能力が高いし、試合の読みが優れている。タイプとしては、2019年のW杯で活躍した日本代表の福岡堅樹に似ているかな」
その言葉を聞いた根塚は屈託なく言った。
「ホントですか。僕自身、福岡さんの映像を見てWTBのプレーを研究したんです。そんな尊敬している選手に似ていると言ってもらえるのは嬉しいです」