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武豊、福永祐一、ルメールの“トップジョッキー3名”に聞いてみた「日本馬の凱旋門賞制覇に必要なことは?」 三者三様の答えは…
posted2022/05/31 06:01
text by
片山良三Ryozo Katayama
photograph by
AFLO
Number1051号の競馬特集で、武豊、福永祐一、クリストフ・ルメールの3人のトップジョッキーから、競馬に対するあふれる思いを存分に聞かせていただいた。本編に収録できなかった貴重なエピソードの中から、ニッポンの悲願である凱旋門賞制覇のために、いまなにが必要なのか、騎手目線の考えを紹介したい。
「馬の状態さえ維持できれば、日本馬は欧州でもいますぐ勝てる」と自信を持つルメールは、「日本で仕上げて、現地に直前輸送で臨むのがいい」と、きっぱりと言う。
フォワ賞(ロンシャン芝2400m、4歳以上、GII。エルコンドルパサー、オルフェーヴル、ディープボンドが勝利)や、ニエル賞(ロンシャン芝2400m、3歳、GII。キズナ、マカヒキが勝利)といった前哨戦での好走例が多く、2走めの本番凱旋門賞では「多分、少し疲れていた」という彼の見解には強い説得力がある。
福永「調教技術も上がっているところを世界に見せたい」
福永は「長距離輸送の技術が格段に上がっているいま、長旅の疲れという要素をほとんど無視できるようになったのは大きい」とルメールにひとまずは同調したが、「馬場の違いに長い間苦しめられてきた。優秀な馬に現地の馬場を経験させて、それに合うフォームを身につけさせる努力も諦めたくない。輸送技術同様に、調教技術も上がっているところを世界に見せたい気持ちもあるんです」と、ある程度の滞在期間を置く手法にも言及した。そこには、近い将来の調教師としての夢も含まれているように筆者は感じた。
武は「勝てる日は近い」と、ルメール同様に日本馬の地力強化に自信を持っており、「ノウハウは幾多の挑戦の蓄積によって磨かれてきた。だからこそチャンピオンホースで挑戦するのが大事。堂々と日本の力を示したい」と、海外挑戦のパイオニアとしての気構えを強調した。
100回の歴史を刻んだ凱旋門賞(ロンシャン芝2400m、3歳以上、GI)は、今年も10月の第1日曜日の開催。一度たりとも欧州調教馬以外に凱歌をあげさせることを許していない文字通りの牙城で、米国勢は挑戦さえもやめてしまっているほどだ。その堅い扉をこじ開けるのが日本馬であったとしたら、歴史はそこから大きく動き出すに違いない。日本ダービー馬の参戦を心待ちにしたい。