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日本ダービー6度目の快挙…ドウデュースを導いた武豊53歳、実際どこが“神騎乗”だったのか?「いかにも武らしいオペレーション」
posted2022/05/30 12:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Keiji Ishikawa
日本競馬界のレジェンドが、「競馬の祭典」で自身の持つ最多勝記録を更新し、史上初の50代のダービージョッキーとなった。
第89回日本ダービー(5月29日、東京芝2400m、3歳GI)で、武豊が騎乗した3番人気のドウデュース(牡、父ハーツクライ、栗東・友道康夫厩舎)が優勝。武は自身の持つダービー最多勝記録を「6」に伸ばし、53歳2カ月15日の史上最年長クラシック制覇記録を樹立した。
“いかにも武らしい騎乗”で手にした栄光
直線入口で、武はドウデュースを外に持ち出した。ラスト300m地点で右ステッキを2発入れると、ドウデュースは鋭く反応。内のアスクビクターモアをかわし、外から猛追してきたイクイノックスを首差抑えて、先頭でゴールを駆け抜けた。武は鞭を持った右手を突き出した。
勝ちタイムは2分21秒9。昨年更新された記録をコンマ6秒も上回るダービーレコードである。
ウイニングランでスタンド前に戻った武とドウデュースを、6万人を超える観客が、拍手と「ユタカコール」で迎えた。
「感無量です。このレースのためにみんなが努力してきたので、成果が出て嬉しいです。好きな仕事を一生懸命させてもらって、こういう名馬に出会えることが何よりも励みになりますし、こうして勝って、みなさんに迎えてもらえると、また頑張ろうという気持ちになれます。今日はありがとうございます」
ウイナーズサークルで行われた勝利騎手インタビューでそう言うと、スタンドから大きな拍手が沸き起こった。
1998年スペシャルウィーク、99年アドマイヤベガ、2002年タニノギムレット、05年ディープインパクト、そして13年キズナにつづく6勝目は、いかにも武らしいオペレーションで手にした栄冠だった。
「自分のペースで行こうと思っていました」
ドウデュースはゆっくりとゲートを出て、正面スタンド前で内に切れ込みながら、後方の14番手で折り合いをつけた。
「スタートはそれほど速いほうではないんですけど、周りに有力馬もいたので、そのへんを意識しながら乗りました」