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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
クリロナとメッシ後の主役は「34歳の万能ストライカー」ベンゼマのバロンドール獲得を信じて疑わないワケ〈識者が選ぶリーガベスト11〉
text by
吉田治良Jiro Yoshida
photograph byDaisuke Nakashima
posted2022/06/02 17:00
覇権奪回を実現したR・マドリーにおいて、34歳のベンゼマの存在感は絶大だった
リーダーの貫録を示したE・ミリタン
左SBでは同じくビジャレアルのペルビス・エストゥピニャンや、セルタでフル稼働したハビ・ガランも候補に挙がったが、ここは躍進ベティスの左サイドを担ったアレックス・モレ―ノをチョイス。17節のレアル・ソシエダ戦で2得点・1アシストをマークするなど、思い切りのいい攻め上がりから、効果的にフィニッシュワークに絡んだ。
CBにはエデル・ミリタン(マドリー)とロビン・レノマン(レアル・ソシエダ)。マドリーでは新加入ながら抜群の統率力を発揮したダビド・アラバも捨てがたいが、E・ミリタンのシーズンを通してのひたむきな働きぶりを評価した。まだ24歳の若さだが、アラバが負傷離脱した終盤戦では、まさにディフェンスリーダーの貫禄を示している。
一方のレノマンは、出場停止の1試合を除いて37試合フル出場。シーズン20試合クリーンシートというソシエダの堅守を支えた立役者は、身体的な強さがあってミスが少ない上に、美しい立ち姿から繰り出すロングフィードも好印象だ。
本来ならリーグ最少失点のセビージャから、ジュール・クンデとジエゴ・カルロスのCBコンビも候補に入るのだろうが、いずれも昨シーズンほどのインパクトはなかった。開幕前にチェルシー移籍が破談となったクンデは、ホームのバルサ戦でジョルディ・アルバの顔面にボールを投げつけて退場になるなど、どこか集中力を欠いているようにも映った。
モドリッチは勝負所で頼りに
3センターハーフのアンカーには、常連のセルヒオ・ブスケッツ(バルサ)ではなく、ソシエダの23歳、マルティン・スビメンディを推す。東京五輪でもその実力を示したように、持ち前の視野の広さで巧みにゲームをコントロール。散らしのパスだけでなく、鋭く縦につけるクサビのパスで攻撃のスイッチも入れられるピボーテだ。
ブスケッツも例によって難しいプレーを当たり前のようにこなして健在をアピールしたが、チームの不振に足を引っ張られ、今シーズンは彼らしくない凡ミスも散見された。
インテリオールはベテランのルカ・モドリッチ(マドリー)と、近未来のバロンドール候補、ペドリ(バルサ)の2人だ。
36歳になっても衰えない運動量と闘争心でマドリーを牽引したモドリッチは、特筆すべき数字こそ残していないが、勝負所で実に頼りになった。CLで奇跡的な逆転劇を連発したマドリーだが、すべての始まりはパリSGとのラウンド16第2レグでモドリッチが見せた2つのプレーだったと思う。
相手のカウンターの芽を摘んだ、74分のメッシに対する気迫のスライディングタックルと、その直後、トータルスコアを振り出しに戻した怒涛のドリブル突破からのスルーパス。チームを奮い立たせたあのビッグプレーがなければ、“魔法の夜”は訪れなかったと断言していい。