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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
クリロナとメッシ後の主役は「34歳の万能ストライカー」ベンゼマのバロンドール獲得を信じて疑わないワケ〈識者が選ぶリーガベスト11〉
posted2022/06/02 17:00
text by
吉田治良Jiro Yoshida
photograph by
Daisuke Nakashima
勝負強さが際立ったマドリーの戴冠は称賛される
もう何年もの間、ラ・リーガのベストイレブンでは、前線の1枠がリオネル・メッシの指定席だった。
仮にバルセロナが優勝を逃したシーズンであっても、過去10年で7度の得点王に輝くなど、つねに異次元の存在であり続けたスーパースターを、11人のリストから外すことはできなかった。
そのメッシがパリへと去って初めて迎えた2021-22シーズンは、レアル・マドリーが早々と独走態勢を築き、2年ぶりの優勝を飾っている。名将カルロ・アンチェロッティのマネジメントが冴えわたり、ここ一番での勝負強さが際立ったマドリーの戴冠は称賛されてしかるべきだろう。
しかし、それ以上に特記すべきは、“ビッグ3”を形成するライバル2チームの不甲斐なさだ。大黒柱を手放し、序盤戦で大きく躓いたバルサ、大型補強を敢行し、連覇を期待されながら方向性さえ定まらなかったアトレティコ・マドリー。優勝争いへの興味を早い段階で削いだという意味でも、彼らの責任は重い。
よって、上位陣から多くの選手を抽出するのがベストイレブン選考のセオリーだが、今シーズンはそれも度外視する。メッシの指定席を失った2位のバルサからはペドリのみの選出、青息吐息で3位にしがみついたアトレティコに至っては、エントリーに値する選手が1人として思い浮かばなかった。
フォイトは一気に信頼性を高めた
では、ポジション別にベストイレブンの顔ぶれを見ていく。システムはマドリー、バルサ、セビージャなどが採用する4-3-3だ。
GKはティボウ・クルトワ(マドリー)の一択。サモラ賞(最少失点GK)こそセビージャのボノに譲ったが、ゴールマウスで放つプレゼンスは文字どおり圧倒的だった。
現代のGKに足もとの技術やフィード能力が不可欠なのは承知している。ただ、クルトワのプレーを見ていると、「GKとは相手のシュートを止めてこそなんぼ」なのだと、改めて思うのだ。絶体絶命のピンチを神がかったセーブで防いでも、顔色ひとつ変えないクールな守護神が、どれだけチームメイトに安心感と勇気を与えただろう。
最終ラインで頭を悩ませたのが、SBの人選だ。とりわけ右は人材難で、スペイン代表のダニエル・カルバハル(マドリー)も、シーズンを通してコンディショニングに苦しんだ。
そこで選んだのが、ビジャレアルのフアン・フォイト。本職はCBで、トッテナムからレンタルで加入した昨シーズンは、どこかおどおどとプレーしていたが、右SBにコンバートされて一気に信頼性を高めた。ベスト4入りしたチャンピオンズリーグ(CL)でも、対人の強さを発揮。バイエルン・ミュンヘンのキングスレー・コマンやアルフォンソ・デイビスのスピードを見事に封じ込めている。