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スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
「シュート59本で27点」ベンゼマ、神セーブのクルトワは当然選出も… 「メッシ的な絶滅危惧種トップ下」って誰?〈識者が選ぶリーガベスト11〉
posted2022/06/02 17:01
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph by
Mutsu Kawamori
2021-22シーズンのスペインフットボール界は、レアル・マドリーが他のライバルを寄せ付けない安定した強さが際立つシーズンだった。
独走で制したラ・リーガだけでなく、驚異の逆転劇を繰り返したチャンピオンズリーグでの勝ち上がりは圧巻の一言。バルセロナ贔屓の著者をしても、最多5人をベストイレブンに選出せざるを得なかった。
中でもシーズンMVPは文句なしでベンゼマだろう。
リーガ最多59本のシュートで27ゴールの決定力
今季のベンゼマはラ・リーガで最多59本のシュートを記録するほどゴールへの意識が高かった。結果としてラ・リーガでは27ゴールを挙げ、2位以下に大差をつけて自身初のトロフェオ・ピチチを獲得。CLでも15ゴールを量産し、初の得点王に輝いている。いずれも自己ベストの数字だ。
中でも圧巻だったのはCL史上最年長で実現したパリ・サンジェルマン戦、チェルシー戦のハットトリックだ。とりわけPSG戦では60分過ぎから立て続けに3ゴールを奪い、2戦合計0-2の窮地をあっという間に覆してしまった。
チャンスメーカーとしての役割も見事にこなし、ラ・リーガではデンベレの13アシストに次ぐ12アシストを記録。巧みなポストプレーや中盤に下がってのゲームメイクは熟練の域に達して久しい。
さらには前線からのプレッシングでライバルのGKやDFのミスを誘い、重要なゴールチャンスを何度も生み出すなど、シーズンを通して非の打ちどころのないパフォーマンスを発揮し続けた。間違いなく2022年のバロンドール筆頭候補だ。
ビニシウスにとっても飛躍のシーズンとなった
ベンゼマと共にレアル・マドリーの攻撃を牽引したビニシウスにとっては飛躍のシーズンとなった。ドリブルでの突破力は相変わらずで、ラ・リーガでは最多95回のレガテ(かわすドリブル)でマーカーを翻弄。課題だったフィニッシュとラストパスの精度も向上し、ラ・リーガでは17ゴール10アシストを量産した。
4ゴール6アシストを記録したCLでの活躍ぶりも際立った。チェルシーとの準々決勝セカンドレグでは、延長前半に柔らかいクロスでベンゼマの決勝ゴールをアシスト。マンチェスター・シティとの準決勝ファーストレグではハーフライン手前から独走ゴールを決めている。まだまだ荒削りなだけに、今後どこまで進化していくのか楽しみな21歳だ。