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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
〈識者が選ぶプレミアベスト11〉ついに「ジェラードとランパードの後継者」現る? サラーとともに得点王ソン・フンミンの存在が誇らしいワケ
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2022/06/01 11:02
ソン・フンミンとデブライネ。圧倒的なパフォーマンスだった
いまでは少なくなったBOX to BOXで、その耐久性は後半の追加タイムまで延々と持続する。なおかつ基本的なスキルと戦術眼にもすぐれ、22歳とは思えぬ落ち着きまで兼ね備えた逸材だ。
選手層が厚くないクリスタルパレスが最終盤までトップ10をめぐって争えたのは、この男がすべてを投げ出して闘いつづけたからに他ならない。ベルナルド・シウバ(シティ)の戦術眼はつねに洗練されていた。しかし、その耐久性とクラブの総合力を踏まえると、ギャラガーの方がインパクトは大きい。
なお、ギャラガーのアイドルは、チェルシーのレジェンドとして名高いフランク・ランパード。なるほど、プレースタイルはよく似ている。
プレミアリーグにジェラードとランパードの後継者が現れた。創設後30年、多くの名手が紡いできた素敵な歴史に、ライスとギャラガーは、どのような彩りを加えるのだろうか。オールドファンは胸が熱い。
マンCの連覇は新世代サイドバックのカンセロにあり
冒頭に挙げたシティの連覇を語るうえで、ジョアン・カンセロも忘れてはならない。
左右のサイドバックを高いレベルでこなし、インナーラップした際のビルドアップには世界中の識者が舌を巻いた。基本的なプレーエリアは大外、というサイドバックの概念を根底から覆したのだから、ベストイレブンに値する。対人の軽さもすっかり消えた。
カンセロとともに高次元のパフォーマンスを見せ続けた守備者が、ビルヒル・ファンダイク、ジョエル・マティプ、トレント・アレクサンダー・アーノルド、アリソンのリバプール勢だ。
「長期欠場のマイナス影響が現れる」
シーズン開幕前、昨シーズンの大半を負傷で棒に振ったファンダイクとマティプに対し、懐疑的なメディアも少なくなかった。連戦による疲労からケガの再発も懸念されていた。しかし、ともにコンディションが万全で、ファンダイクは34試合、マティプも31試合に出場。周囲の不安を笑い話に変えた。
どちらも長年の経験に基づくポジショニングが秀逸で、特にスピード系の相手に対する間合いの測り方は名人芸。いつのまにかみずからのエリアにおびき寄せ、ススッと距離を詰めながら簡単にボールを奪う。2人とも味わい深いセンターバックだ。
アーノルドが記録した“恐るべきスタッツ”とは
そして、A・アーノルドはたくましく変貌。だれもが認めるワールドクラスの右サイドバックに成長した。