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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
〈識者が選ぶプレミアベスト11〉ついに「ジェラードとランパードの後継者」現る? サラーとともに得点王ソン・フンミンの存在が誇らしいワケ
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2022/06/01 11:02
ソン・フンミンとデブライネ。圧倒的なパフォーマンスだった
サイドチェンジ、クロスともにピンポイント。12を記録したアシストは直近3シーズンで2回目の2桁をマーク。なんというスタッツだろうか。
幅を取ったり、中央に圧縮したり、リバプールは試合中に幾つかのプランを使い分けるが、あるときはタッチライン際で、またあるときは中盤インサイドで、A・アーノルドはありとあらゆる球種を使い分けてクラブの二冠(FAカップ、リーグカップ)に貢献した。カンセロとともに、サイドバックの概念を覆した名手のひとりである。
なお、GKは安定感を買ってアリソンを選出した。シティのエデルソンも捨てがたいが、ポジショニング、クロス対応、シュートストップなど、基本的な部分でアリソンに一日の長がある。
サラーとマネは相変わらず凄かった
そして、モハメド・サラーとサディオ・マネ(ともにリバプール)は変わらず凄かった。前者はエジプト代表、後者はセネガル代表としてアフリカ選手権に出場。ともにプレミアリーグを1カ月ほど欠場したにもかかわらず、サラーは得点王(23)とアシスト王(13)の二冠。マネの16得点はランキング5位の好成績で、後半戦は前線中央でも通用する懐の深さを見せた。
しかも、両者は単なるゴールゲッター、チャンスメイカーにとどまらず、相手ボールになった際の守備面のプレー強度は凄みを増してきた。
とりわけサラーは10試合連続ゴールというクラブ記録を樹立し、21年10月3日(現地時間)のシティ戦で見せたゴールは圧巻だった。ドリブルでボックス内に進入すると、名手エデルソンが完璧なポジショニングでニアポストを消したにもかかわらず、その頭上を抜いてみせた。
強さ、角度、スピードともパーフェクト。飛び切り美しい一撃だった。
ベテランの域が迫っているのに運動能力が向上
さて、サラーとマネにまさるとも劣らないパフォーマンスを見せたのが、トッテナムのソン・フンミンである。23点でサラーと得点王を分け合った事実が、優れた実力の証だ。アジア人初の快挙! しかもPKは一度も蹴っていない。
マーカーを置き去りにするスピード豊かなドリブル、シーズンを通して好調を維持したこと、さらにフィニッシャーとしても磨きがかかり、いまやハリー・ケインと並ぶトッテナムの“顔” になった。
尋常ではない仕事量が求められる現代のプレミアリーグにおいて、サラー、マネ、ソンの3人は際立っていた。29~30歳とベテランの域が迫っているにもかかわらず、運動能力が向上している点も驚きだ。
筆者はユナイテッドを愛するが、彼らのベストイレブン選出は当然で、ひとりのフットボールファンとして脱帽するしかない。
<#2につづく>
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。