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プレミアリーグの時間BACK NUMBER
〈識者が選ぶプレミアベスト11〉 “38億円は高すぎ”不評を跳ね返したアーセナル新守護神、“心停止から復活”エリクセンらを称えたい
posted2022/06/01 11:03
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Getty Images
今季プレミアリーグは、最終アストンビラ戦(3-2)で2点差を覆したマンチェスター・シティが、ウォルバーハンプトン戦(3-1)で逆転勝利を収めたリバプールとの緊迫した優勝争いを制した。
その差、わずか1ポイント。一方、3位チェルシー以下との差は18ポイント以上。別格の「2強」に敬意を評し、両軍基本の4-3-3システムをベストイレブンでも採用する。
疑問の声をかき消したアーセナルの新守護神
GKは、アーロン・ラムズデイル。無失点試合数ではトップ2のエデルソン(シティ)とアリソン・ベッカー(リバプール)がリーグ最多タイだが、チームに与えたインパクトの大きさでは5位アーセナルの新守護神が勝るとも劣らない。
計9失点3連敗のスタート大失敗からトップ4争いを演じるまで回復したのは、揃って第4節ノリッチ戦(1-0)が移籍後初のリーグ戦となったDF冨安健洋の強さと速さ以上に、ラムズデイルのフィードとセーブによるところが大きい。
8セーブで零封勝利を実現した第10節レスター戦(2-0)。直接FKを横っ飛びでバーに当てて弾き出した1本は、相手GKカスパー・シュマイケルの父ピーターに、SNS上で「何年も目にしていなかったようなベストセーブ」と感嘆の声を上げさせた。加入当初はシェフィールド・ユナイテッド(2部)から推定約38億円で獲得した補強に対して疑問の声もあったが、それを見事にかき消した。
チェルシーのピンチを幾度も防いだ最年長37歳
最終ラインの中央には、ビルヒル・ファンダイクを選ばないわけにはいかない。昨季の大半を怪我で欠場したCBの復帰は、開幕前に世界最高クラスの新戦力を手に入れたようなもの。フィールド選手ではチーム最多のリーグ戦34試合に先発した支柱は、リバプールが最終節まで4冠を目指し続けられた要因の1つだ。
指揮官のユルゲン・クロップは、よく「素晴らしい」という意味で「クール」と言うが、今回のイレブンでの相棒には文字通り“クール”な守りが圧巻だったCBを選んだ。
もう1人のCBはチェルシーで幾度もピンチを未然に防いだチアゴ・シウバだ。今季プレミアのピッチに立ったフィールド選手では最年長37歳だが、鋭い読み、的確な状況判断、効果的フィードといったワールドクラスたる所以は相変わらず。最終ワトフォード戦(2-1)で、無人のゴールに向かったと思われた味方のバックパスに当たり前のように反応し、ゴールライン手前で追いついて反転すると、表情一つ変えずにビルドアップの起点となった。