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2010年に8000億円台だった売上が過去最高の「2兆3926億円」に激増… 現役記者が解説するボートレース人気“3つの要因” 

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山内翔太

山内翔太Shota Yamauchi

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posted2022/05/29 11:02

2010年に8000億円台だった売上が過去最高の「2兆3926億円」に激増… 現役記者が解説するボートレース人気“3つの要因”<Number Web> photograph by KYODO

女性初のSG制覇を達成した遠藤エミに続き、平高奈菜(写真)もSGオールスターの優勝戦に進出。女性レーサーたちがボートレースの人気を牽引している

女性レーサーをはじめ、人気選手がより身近な存在に

 そして3つ目の要因ですが、女性レーサーの活躍も大きいと思います。今年3月のボートレースクラシックで遠藤エミ選手が女性初のSG優勝を飾ったことは記憶に新しいですが、そのほかにも平高奈菜選手や守屋美穂選手など、多くの人気レーサーが新たなファン層の開拓に貢献しています。

 最近の選手はSNSやYouTubeでの発信にも積極的ですし、業界としてもボートレーサーを一種のタレントのように売り出しています。ファンも選手同士の関係性やプライベートで遊んでいる様子などを見ることで、自身に近い存在として親しみを持って応援したくなる。これは女性レーサーに限らずですが、やはり人柄を知れば知るほど「この人面白いな」「あの人カッコいいな」と感情移入していくものですから。選手たちのキャラクターやストーリーをうまく伝えることができているのも、「スポーツ」としてのイメージの定着に少なからず貢献しているのではないでしょうか。

 業界全体の長期的な戦略による認知度の向上と、SNS時代と相性のいいネット投票の手軽さ、そして女性レーサーをはじめとした人気選手の活躍。こういった要素が重なって、ボートレースは「ちょっとしたスリルやドキドキを楽しみたい」というライトユーザーにとって有力な選択肢になりました。近年の伸びを見ていると、ひとりひとりが使う金額は多くなくても、まだまだ成長の余地はあるのではないかと思っています。

 個人的に少し気になっているのが、YouTubeなどで何十万、何百万という大金を賭けている層の存在です。“インフルエンサーあるある”なのかもしれませんが、そういう動画を見てしまうと「自分もこれで一攫千金を……」と思ってしまうのが人間心理じゃないですか(笑)。業界としても興味を持ってもらったユーザーには長く付き合ってもらうのが一番でしょうから、みなさん無理のない範囲でボートレースを楽しんでほしいですね。

(構成/曹宇鉉)

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