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金田正一「弱小チームで31勝」か、田中将大「勝率10割の24勝」か…もし同年の記録なら“どちらが沢村賞”? 無理を承知で決めてみた
text by
太田俊明Toshiaki Ota
photograph byNanae Suzuki
posted2022/05/20 11:03
現役投手として屈指の実績を誇る楽天・田中将大。2013年シーズン、伝説の「24勝0敗」を振り返る
ケガさえなければ“サイ・ヤング賞レベル”
この年ア・リーグでサイ・ヤング賞を受賞したのはコーリー・クルーバー(クリーブランド・インディアンス)で、その成績と田中のシーズン成績を比較すると以下のようになる。
クルーバー
34試合、18勝9敗、勝率.667、投球回235.2回、奪三振269、与四球51、防御率2.44、WHIP1.09
田中
20試合、13勝5敗、勝率.722、投球回136.1回、奪三振141、与四球21、防御率2.77、WHIP1.06
故障離脱前の田中が、この当時世界最高レベルの投手であったことは明白だろう。
では、世界最高レベルの投手だった2013年の田中将大と、第1回でとりあげた“通算成績なら文句なしの日本プロ野球史上No.1投手”金田正一の最高の一年の成績を比較してみよう。両者ともその年25歳というのが面白い。(※太字はリーグ最高)
金田正一の全盛期と比較…もし二人が同年なら沢村賞は?
田中(2013年)
【登板28試合(先発27、救援1)、完投8、完封2、24勝0敗、勝率1.000、投球回212.0
奪三振183、与四球32(敬遠0)、防御率1.27、WHIP0.94】
金田(1958年)
【登板56試合(先発31、救援25)、完投22、完封11、31勝14敗 勝率.689、投球回332.1
奪三振311 、与四球60(敬遠4)、防御率1.30、WHIP0.83】
二人ともこの年に沢村賞を受賞しているが、もしこの二人が同じシーズンにこの成績をあげたとしたら、どちらが沢村賞をとるだろうか。
現在の沢村賞の選考基準は、25試合以上登板、完投10試合以上、15勝以上、勝率6割以上、200投球回以上、150奪三振以上、防御率2.50以下である。
田中は完投数だけが基準を満たしておらず、金田はすべての基準をクリアしている。防御率はほぼ互角で、四球数は田中の方が少ないのに、WHIPでやや差がついているのは、田中の被打率が金田より高いためだ。田中は、212回投げて被安打168で、被打率0.79。対して金田は332.1回で216被安打、被打率0.65である。